次の10年を勝ちきる日本企業 有力コンサルの予測は
『BCGが読む 経営の論点2020』
日本の企業が目指すべき方向をガイドしている
2020年代には、グローバルな規模で巨大な構造変化が到来する。この不確実な時代に日本企業が取り組むべき課題は何なのか――。世界的なコンサルティングファームとして知られるボストンコンサルティンググループ(BCG)が、11月に『BCGが読む 経営の論点2020』を刊行した。「日本にとって、失われた30年から脱却する好機が訪れる」と予測するBCGは同書で、勝ち残りの条件を経営者やビジネスリーダーに呈示した。今求められる経営変革を理解しつつ、キャリア形成の方向を定める羅針盤として是非とも役立てていただきたい。
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日本企業が輝きを取り戻す10年に
編者であるBCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして発足しました。現在では「変革の推進」「組織力の向上」「競争優位性の構築」「収益改善」など様々なテーマでクライアントのトランスフォーメーション(変容)を支援する業務を展開しています。日本では1966年に世界第2の拠点として東京オフィスを立ち上げました。2003年には名古屋市に中部・関西オフィスを開設しています。本書の狙いは日本企業が変革を遂げることで、次の10年を「輝きを取り戻す10年」とすることです。
(プロローグ――2020年代を勝ち抜くために 4~5ページ)
読者に伝えたいメッセージを明確にした上で、日本企業の取り組むべき課題として本書は5つの方向性を示しています。
(2)変化に柔軟に対応する組織を構築する
(3)ダイナミックな全社変革を実現する
(4)先が見えない時代に経営手法を進化させる
(5)企業の「あるべき姿」を再定義する
それぞれの方向性について2つずつ、合計10項目の具体的な経営テーマを挙げています。そして、それぞれのテーマに詳しいBCGのコンサルタントが分担して執筆するという構成になっています。
エコシステムと協業の違いとは
(1)では、デジタル技術の進展などによって、従来の戦略構築の定石が通用しない時代のビジネス環境を概説しています。新しい競争環境で重要になる経営テーマの一つが「データドリブン・マーケティング」です。鍵となる戦略はAIとビッグデータとをうまく掛け合わせて、データ経済圏でマネタイズ(収益化)を実現することです。