温かな麦ごはん、無罪の支え 村木厚子さん食の履歴書

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拘置所にいるときに気になる風景があった。食事を配膳してくれていたのが、幼さが残る女性たちだった。取り調べの合間に検事に事情を聞くと受刑者で、「麻薬や売春が多い」という。「罪を犯すようには見えないのに、なぜ」。疑問が膨らんだ。

第二の人生は官僚時代にやりきれなかった福祉の仕事を深めている。作家の瀬戸内寂聴さんとともに、少女や若い女性を支援する一般社団法人若草プロジェクトの呼びかけ人になった。生きづらさを抱えた女性たちのSOSをすくい上げ、社会とつなぐ。拘置所での食の風景が今につながっている。

好みを丁寧に聞いてくれるすし

好きでないはずが「札幌 たる善 新丸の内店」は例外(東京都千代田区)

東京・丸の内の新丸ビルにある「たる善」(電話03・5218・7007)は札幌市に本店を置くすし店だ。村木さんは弘中弁護士の紹介で弁護団と訪れて以来、家族とたびたび足を運んでいる。

もともと脂がのった魚が苦手で、あまりすしを好まない。だが、それぞれの好みを丁寧に聞いてくれるので「この店は例外」なのだという。「よく注文するのはエビや貝、ウニかな。酒のサカナや突き出しもおいしいんです」

同店のすし職人の中村武宣さんは「ウニやイクラなど北海道で調達するネタが強み」と話す。サンマと入れ替わり、生のニシンが入ってくるのは北海道が拠点の店ならでは。ランチではネタをぜいたくに使った「北の極み丼」(3080円)が看板メニューだ。

最後の晩餐

家庭料理がいいですね。その中で何か、というと……コロッケでしょうか。我が家では、つぶしたジャガイモにひき肉、みじん切りにしたタマネギとニンジンを入れます。手間がかかるけれど、揚げたては最高。自分が元気だったら自作して家族と食べたいです。

(天野由輝子)

むらき・あつこ
1955年高知県生まれ。78年に労働省(現・厚生労働省)入省、女性政策や障害者支援に携わる。2009年に逮捕・起訴されるが、10年9月の裁判で無罪確定。13年7月厚生労働事務次官に就任し、15年10月に退官した。17年4月から津田塾大客員教授。
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