新エンジン・マツダ3 力強く美しく「静かなる革命」

2019/12/22
新型エンジン「スカイアクティブX」を搭載したマツダ3ファストバック(写真:荒川正幸、以下同)
新型エンジン「スカイアクティブX」を搭載したマツダ3ファストバック(写真:荒川正幸、以下同)
webCG

次世代エンジンとして注目を集めてきた「スカイアクティブX」を搭載した「マツダ3」が、いよいよ日本の道を走りだす。既存の2リッターエンジン比でおよそ70万円アップ、夢のエンジンに投じるお金でどんな世界が見られるのだろうか。

夢のエンジンの第一歩

これは問題作である。出来栄えに問題があるということではない。それどころか素晴らしい。そのココロは、抱腹絶倒のコメディーや涙必至の悲劇、あるいは勧善懲悪の時代物などは分かりやすく観客に訴えるが、難しい問題に正面から取り組んだ作品は、最初のうちは評価が分かれ、あとからじんわりその上質さや深みが染み込んでくるということ。しかも、待たされた分だけ期待がさらに大きく膨れ上がった中での登場である。

火花点火制御圧縮着火(SPCCI)を実現し、内燃機関の効率追求の次のステップに踏み出した革新的エンジン、その名もスカイアクティブXエンジンを搭載した「アクセラ」改めマツダ3の価値は那辺(なへん)にありや? ということでいやが上にも注目が集まるのは当然だ。

その熱気に水を差すようだが、上述したようにXは分かりやすい、パンチが利いたコッテリ味ではないことをまず言っておかなければならない。マツダはもはや以前のマツダではなく、強烈な加速やナイフのように鋭いハンドリングに一点張りしたクルマは作らない。ボリュームや高価な食材などで“映える”ことのみを重視した料理ではなく、言ってみれば繊細で丁寧な和定食のように、シンプルながらしみじみうまい料理を提供する店である。それにしては高いじゃないか、というあなたもそんなに先回りしないでください。

「スカイアクティブX 2.0」エンジンはがっちりとカバーで覆われて搭載される。カバーはエンジンユニットの下部まで回り込んでおり、静粛性を高めるとともに、内部の温度を下げない=圧縮着火に入りやすくする効果があるという
ボア×ストロークは既存の「スカイアクティブG 2.0」と同じ83.5×91.2mm。高圧噴射システムやマツダが高応答エアサプライシステムと呼ぶスーパーチャージャーを備えている

いや、実は高価な食材も使われている。スカイアクティブXエンジンには、24V駆動のマイルドハイブリッドシステム(モーターのみの走行は不可)や70MPaという高圧燃料噴射システム(フォルクスワーゲンやBMWの最新直噴ターボでも35MPaだからその倍だ!)、高応答エアサプライシステム(スーパーチャージャー)など、どう見てもコストアップにつながる特別なコンポーネントが採用されている。SPCCIを実現し、上質さを追求するには必要な構成技術だという。プレミアムガソリン仕様(緊急時にはレギュラーも使用可能)としたことで発売が予定よりも2カ月遅れたというXは、結局最高出力180PS(132kW)/6000rpm、最大トルク224N・m(22.8kgf・m)/3000rpmと、欧州仕様のXとまったく同じスペックでデビューした。ただし、圧縮比は欧州仕様の16.3に対して日本仕様は15.0:1となっている。その点も含めて細かい部分まで取材する時間が試乗会ではなかったのが残念だ。