「簡単によく見える」ものを選ぶコツ
では、どんな格好がよかったのでしょうか? 例えば「ダッフルコート」はだめだったのでしょうか? カジュアルすぎる? そして学生気分が抜けないイメージでしょうか?
ダッフルコートはもともと漁師の防寒着が英国海軍に転用されたのが一般化したきっかけだそうです。学生がよく着るコートのイメージであるのは、古着などが安く市場に出回り、学生が手に入れやすかったことが背景にあります。そうしたカジュアルなイメージをあえて大人のスタイルに取り入れる、おしゃれな人も多いアイテムです。
しかし、「あえて合わせることでおしゃれに見せる」アイテムは、裏を返せば「普通に着ていれば、おしゃれに見えない場合もままある」ということです。こういうアイテムこそ難しいのです。ですから前述の女性は「もっと簡単に大人っぽくて上品に見せるものを選べばいいのに」という思いが強かったのではないかと思います。
どうせなら「ただ着るだけで上品な大人に見えるアイテム」を選ぶようにしたほうが楽ではないでしょうか。今選ぶコートなどのアウターなら、短めで軽いウールのチェスターフィールドコートやステンカラーコートなどをおすすめします。シックな色合いのダウンコートも上品に見えるアイテムです。
リゾートホテルであれば、コートのほかに1枚シワになりにくいジャケットを持っていけば、レストランもオッケーです。軽くてシワになりにくく、上品な雰囲気になるのは柔らかいカシミヤやカシミヤ混の生地のものですが、最近は素材の開発力が高いのか、普通のウールでもカシミヤのようなツヤ感があり、シワも入りにくそうな軽い生地をときどき見かけます。一般的な旅行なら、そのようなもので十分だと思います。
パンツは、ジーンズもいいですが、何も考えずにはけば、学生のようなカジュアルさやラフさのほうが目立つものが多いようです。それならば、動きやすいストレッチ素材でチノパン風デザインのパンツなども用意してはいかがでしょうか。座って移動するときにはかえってラクだと思いますし、上品に見えるので場所を選ばずはいていけそうです。
「コーディネートを買う」のも手
色のコーディネートも同系色でまとめるときれいです。ビジネススタイルではジャケットやシャツなど何か一つに柄があればあとは無地、使う色は2色までで多くても3色、とよくお伝えしています。こうしたルールを意識しておくと、大人っぽいシックな合わせ方になり、着ている本人が知的に見えます。チェック柄のシャツやマルチカラーのスニーカーなど目立つ「柄」アイテムは、全身で2つあると、洗練されて見えません。
プライベートカジュアル服の購入では「ラク」「汚れにくい」を主眼にする人も多いのですが、「上品な感じになるアイテム」とか「洗練されて見える色合わせ」も合わせて意識しましょう。思い切って店頭のマネキンが着ている、おしゃれに見える組み合わせを全身一括購入する方法もありますよ。マネキン丸ごとは極端でも、ショップスタッフと相談してトータルコーディネートをしてもらい、ひとそろえで購入するのは便利な手段です。

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