乳酸菌で腸活、免疫アップ インフル流行期こそ発酵食

2019/12/6
腸の活動を促進して、免疫力を高めるには……。写真はイメージ=PIXTA
腸の活動を促進して、免疫力を高めるには……。写真はイメージ=PIXTA

冬に流行する感染症といえば風邪、インフルエンザ。寒さに加えて、年末の仕事の追い込みや受験勉強などで、ストレスや疲れ、睡眠負債がたまりがちになる。ストレス対策や十分な睡眠をとることが一番大切だが、免疫力の維持が期待される食品成分を意識的にとることも心がけたい。特に乳酸菌や、乳酸菌が作る酸の力など、腸の活動を促し、感染防御力を高めるとされる食品成分が注目されている。

インフルエンザ流行期、ストレスや睡眠不足注意

11月15日、インフルエンザが全国的な流行期に入ったことを国立感染症研究所が発表した。例年より数週間から1カ月ほど早く流行期が訪れ、流行拡大が懸念される。インフルエンザ対策として、厚生労働省はワクチンの接種や外出後の手洗い、感染拡大を防ぐマスクの着用などを推奨している。ただ、接触したウイルスがワクチンの型と異なったり、体力が低下していたりすれば、知らぬうちに感染してしまう可能性もある。

特に、ハードな運動の後や、長時間ストレスにさらされている人、乳幼児や高齢者は免疫力が低下しやすく、風邪やインフルエンザの感染リスクが高いこともわかっている。この時期はウイルスを「体内に入れない防御」を強化するだけでなく、入ってきたウイルスに「負けない防御力」も高めておきたい。

2019-2020年と2018-2019年のインフルエンザシーズンにおける全国の保育所、幼稚園、小学校、中学校、高等学校おける患者数推移を比較。2019年は、昨シーズンに比べ軒並み患者数が多くなっている。(データ:国立感染症研究所)

ウイルスが体内に侵入した場合、抵抗するのが免疫細胞だ。免疫細胞には、体内に侵入した異物やウイルスに感染した細胞を捕捉して破壊するマクロファージや樹状細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、異物を特定して攻撃するT細胞、B細胞といったさまざまな免疫細胞がある。これらが情報を共有しあうことで、ウイルスや病原性細菌から体を守っている。

ところが、免疫細胞の数や働きは一般的に20代をピークに年々低下する傾向がある。ストレスや体力の低下、睡眠不足、栄養不足なども免疫力を低下させる要因だ。ウイルスに負けない免疫力を維持するには、適度な運動や十分な睡眠、ストレス対策だけでなく、刺激を与えて免疫細胞を活性化させる成分を食品類からとるのも重要。食品成分を利用して免疫を高めるカギとなる臓器が「腸」だ。

<自然免疫と獲得免疫>

免疫には、入ってきた敵(病原体)を捕まえて分解する自然免疫と、敵に関する情報を学んで特定の病原体を効率よく攻撃する獲得免疫がある。自然免疫を担うのは、マクロファージや樹状細胞といった免疫細胞。獲得免疫を担うのは、T細胞やB細胞と呼ばれる免疫細胞の役割。
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免疫維持に働く腸内細菌