2019/11/29

準大賞 

長嶋 愛(ながしま・あい)さん(39歳)

NHKディレクター

難聴者である自身の視点を生かし番組制作
「知られざる世界」を見せ、数々の賞を獲得

東京都のろう学校を舞台にしたドキュメンタリー番組『静かで、にぎやかな世界~手話で生きる子どもたち~』(NHK)を制作。子供たちがキラキラとした表情で力強く生きる姿を映し出し、視聴者を圧倒。大きな反響を呼び、2018年度ギャラクシー賞テレビ部門大賞をはじめ数々の賞を受賞。自身も難聴者で、入社6年目に聴力をほぼ失ったが、ディレクターの仕事を続けるため、文字通訳のサポートを付けたいと会社へ訴え、「難聴者である自分」のままで、好きな仕事を続ける道を切り開く。

■受賞者 

石川 賀代(いしかわ・かよ)さん(51歳) 

社会医療法人石川記念会 理事長、石川ヘルスケアグループ 総院長

スマホを徹底活用した“攻め”のICT化で
地方の医療現場の「働き方改革」に挑む

超高齢化による人手不足が今後大きな課題となる地方の医療現場で、全職員にスマートフォンを貸与し、医療・介護のさまざまなシーンで活用。業務の効率化を図り、持続可能な新時代の地方病院の在り方を示す。リハビリ職員向けには、音声認識システムの開発会社と共同で医療辞書搭載のスマホ用の音声入力ソフトを開発。スマホに「話す」だけで専用アプリの電子カルテに入力されるため、入力の手間が大幅に軽減。職員たちの有休消化率アップにつながり、他院への導入も進む。

■受賞者 

片岡 真実(かたおか・まみ)さん(54歳)

森美術館 副館長兼チーフ・キュレーター

現代作家の展覧会に66万人が来場!
今を生きる人々とアートとの懸け橋に

東京・六本木の森美術館で2019年6月20日から10月27日まで開催された『塩田千春展:魂がふるえる』をキュレーション。同展覧会は、現代アーティストの個展でありながら、66万6271人の入場者数を記録。『フェルメール展』(上野の森美術館)や『ムンク展』(東京都美術館)に迫る入場者数を達成した。美術館において、キュレーターに女性は多いが、館長はまだ少ない。さらに、現代アートの現場の“たたき上げ”となるとなおさらだ。そんな中、20年1月に森美術館館長に就任する。

■受賞者 

林 有理(はやし・ゆうり)さん(39歳)

大阪府四條畷市 副市長

11年ぶりに人口増を達成した四條畷市で
“子連れ赴任副市長”として手腕を発揮

大阪府四條畷市では2017年に当時28歳の全国最年少市長が誕生。その公約のもと実施された副市長公募プロジェクトで、1700人を超える応募者から選ばれ、副市長に就任。夫を東京に残し、当時0歳だった娘を連れ、四條畷市に赴任するや、市役所の組織改革に着手。民間企業で身に付けたスピード経営や組織マネジメントのノウハウを持ち込み、市役所を活性化。18年に11年ぶりに人口増を達成した同市の改革を裏から支えている。人生のミッションと定めた「幸福な住まいと街づくり」の探求を続け、官民の枠にとらわれない新しいキャリア形成の道筋を示す。

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