実はゴムだけじゃない タイヤも脱プラスチックの苦闘

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/12/8
ナショナルジオグラフィック日本版

米国で捨てられる歯ブラシの数は19年の予測で10億本。生分解性の代替製品も売られているが、プラスチック製が圧倒的に多い(PHOTOGRAPH BY HANNAH WHITAKER)

歯ブラシ、タイヤ、たばこ、靴――使い勝手が良く、比較的安く作れるプラスチック製品。しかし、奇跡の物質とも呼ばれるプラスチックが今、地球全体の問題になっている。ナショナル ジオグラフィック2019年12月号では、私たちの生活に欠かせないプラスチックの現状と、地球を守るために、プラスチックへの依存をやめる方法はないのかをリポートしている。

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靴のように、ほかの素材と組み合わせて使われていると、再利用が難しかったり、不可能だったりする。世界には、プラスチックが再利用も、焼却も、埋め立てもされない場所も多い。

廃棄されたプラスチック製品は川や海へと流れ込み、マイクロプラスチックという微細な破片になる。大小さまざまな海の生物がこの破片を食べ、人間もまた海塩に混ざった破片を口にしている。それが人体にどんな影響を及ぼすのかは、まだわかっていない。

さらに、私たちはナノプラスチックという、より微細なプラスチックの粒子を吸い込んでいる。風に運ばれ、雨や雪に混じったこうした粒子が、近年、辺境の山頂や北極圏でも見つかっている。奇跡の物質は、今や悪夢のもととなった。

毎年、世界中で捨てられるプラスチック製のフォーク、ナイフ、スプーン。昔のように、それらを使わない生活に戻れるだろうか(PHOTOGRAPH BY HANNAH WHITAKER)

プラスチックの害をなくして、この素材を有効活用することが、ますます差し迫った課題となっている。この半世紀、環境保護活動家たちはプラスチック製品を「減らし、再利用し、リサイクルすべきだ」と訴えてきたが、プラスチックの製品や梱包材を販売する企業にとって、そうした取り組みにはメリットが少ない。リサイクルには複雑な工程とコストが必要な場合が多いからだ。だが、プラスチック汚染は今や世界規模で喫緊の課題となり、人々の関心も高まっている。

人々の価値観に変化が起ころうとしている兆しもある。プラスチックごみが、私たちの不安をかき立てるようになったのだ。プラスチックを使わない方法を模索する起業家たちもいる。

現代の生活では、さまざまな場面でプラスチック製品が使われていて、それぞれ違う対策が求められる。問題を解決するためのヒントも、製品が誕生した背景も考える必要があるだろう。

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