実はゴムだけじゃない タイヤも脱プラスチックの苦闘

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/12/8

例えば、タイヤだ。タイヤは、1909年にプラスチック製品が登場している。日頃、タイヤを使っていても、プラスチック汚染の原因の一つとなっていることまで知る人は少ないだろう。

タイヤは道路を走行する際、摩擦により合成ゴムの破片をまき散らす。合成ゴムは石油を原料とするポリマー(高分子化合物)で、こうした破片は雨が降ると道路から河川へと流れ込むことがある。ある推計では、海に流入するマイクロプラスチックのうち、タイヤが28%を占めるという。

ゴムはかつてゴムの木の樹液だけで作られていたが、車を運転する人が増えるとゴムの需要も急増した。1909年、ドイツの化学者フリッツ・ホフマンが初めて商業用の合成ゴムを開発し、タイヤの原料として使われるようになる。31年には、米デュポン社が合成ゴムの大量生産を始めた。

現在、タイヤの原料は天然ゴムが約19%、合成ゴムが24%を占め、さらに金属やほかの素材が使われている。一般的に使われるラジアルタイヤは、数十年前からデザインがほぼ変わっていないが、近年、環境に配慮したタイヤの開発が進められるようになった。米ミネソタ大学が率いる研究チームは、樹木や草、トウモロコシなどの天然素材を使って合成ゴムの主原料を作る方法を発見した。

タイヤの原料からプラスチックを完全に排除することは難しい。しかし、路面を現在よりなめらかにし、なおかつ滑りにくくすることはできるかもしれない。また、マイクロプラスチックを含んだ雨水が海に流入する前に回収する方法もあるだろう。

タイヤの問題が認識されるようになったのはごく最近で、解決に向けた研究が始まっている。

(写真 ハナ・ウィテカー、文 ティック・ルート、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック日本版 2019年12月号の記事を再構成]

[参考]要約して紹介した「やめられない? プラスチック依存」は、ナショナル ジオグラフィック日本版2019年12月号の特集の1つです。この号では、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地エルサレムの地下の遺跡を紹介する「エルサレム 地下の迷宮へ」、野生に生息する個体数を上回って飼育されている米国でのトラの飼育をリポートする「米国のトラたちの悲鳴」、「ヒマラヤ危険な氷河湖」「アフリカの自然公園」など、様々な視点で地球の今をお伝えしています。

ナショナル ジオグラフィック日本版 2019年12月号[雑誌]

著者 : 日経ナショナルジオグラフィック
出版 : 日経ナショナルジオグラフィック社
価格 : 1,131円 (税込み)


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