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育休から時短復帰 それでも私が半年で昇進できた理由

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夫婦は共に働き、共に育児や家事をする――。この意識は、ここ何年かでずいぶんと浸透したのではないでしょうか。なのに、子育て世代がモヤモヤを抱えたままなのは、取り巻くルールが旧時代のままだから? 今回紹介する栗林真由美さんは、IT企業で働く2児のママ。第1子出産後の時短復帰では、「降格はあっても昇格はない」と思われてきたかつての常識を打ち破り、半年後には主任に昇進しました。栗林さんはなぜ、出産後も子育てに適した環境に身を置きながらキャリアアップも実現できたのでしょうか? 栗林さんの妊娠から昇進までの舞台裏をお聞きしました。

◇  ◇  ◇

「妊娠=キャリアを諦める」ことだと思い込んでいた

こんなことをいうと娘に申し訳ないのですが、第1子を妊娠したとき、私が真っ先に思ったのは「これで私のキャリアは終わった」というものでした。

ショックから家を飛び出し、あとから追いかけてきた夫にたしなめられてやっと我に返りました。子どもはいずれは欲しいと思っていましたが、それは明らかに31歳の「今」ではなかった。当時の私にとって、妊娠とは「キャリアを諦める」ことと同じだったのです。それは疑う余地のないことでした。

新卒でIT関連の会社に就職した私は、企画部でやりがいのある仕事を任され、働くことに生きがいを感じていました。しかし、ある日突然、それまでとはまったく違うバックヤードへの異動を告げられて。そこからは一転、鬱屈した日々を過ごしていたんですね。

数カ月後には再び新規事業の柱となる部署に異動になり、徐々に、上司の信頼を得られるようになりました。妊娠が分かったのは、まさにそんな矢先のことでした。

任された仕事をまっとうできなければ、上司に「裏切られた」と思われても仕方がない、「前の部署に戻されるかもしれない」。不安に押しつぶされそうになりながら上司に妊娠を告げました。すると意外にも上司は、会議室から漏れるくらいの大きな声で「よかったね~!」を連発してくれて(笑)。

うれしかったですが、私の不安が晴れたわけではありませんでした。すぐに、「復帰後の働き方」に意識が向き始めたからです。

当時の社内にはまだ、出産後も第一線でバリバリ活躍する女性はほとんどいませんでした。優秀な女性たちが、出産を機に自らバックヤードを志願して、周囲に迷惑をかけないことを最優先に働く姿を見るのは辛かった。他人事ではなく、その姿に「未来の自分」が重なって見えました。

「育休は留学みたいなもの」 180度考えが変わったある女性との出会い

拭いきれない不安を抱えていたある日、私は偶然、友人に連れられていった会合で、イベントプロデュースなどを行うウィズグループの代表 奥田浩美さんに会いました。出産を機にさらに活躍の幅を広げている奥田さんは、私にとって憧れの存在。

今後のキャリアへの不安を包み隠さず打ち明けると、奥田さんは「焦らなくてもいい。子育ては留学みたいなものだから」と言ってくれました。

驚きましたね。最初はピンとことなかったものの、そう考えると不思議にワクワクしてくるのを感じて。いつのまにか、「育休中、どんな人に出会えるかな」「かつてない経験ができるかも!」と、育休に入ることを楽しみにしている自分がいました。産後はさらにポジティブになって、私は「こんなにも惜しみない愛情を与えるべき子どもがすぐそばにいるのに、何もできないわけがないじゃないか!」と考えられるまでになっていました。

育休中にテーマを決め、復帰後の自分を見据えて過ごす

そうして迎えた育休。私が最初にやったのは「育休中のテーマを設定」することでした。このとき私が掲げたのは、「育休を仕事復帰の準備期間と捉え、思いっきり働ける自分になる!」というものです。

さっそく行動に移しました。まずは、有志で集まったメンバーで準備を進めていた「育休プチMBA」の立ち上げに参画しました。「育休プチMBA」とは、育休中を働く準備期間と捉えて、社会に貢献できる人材を目指す学びの場です。

具体的には、ケーススタディーを行い、皆でディスカッションを深める勉強会を開催しています。例えば、あなたがコンビニエンスストアの経営者で、こんなバイトが入ってきました。バイトの人数が足りないなか「辞める」と言われた場合、あなたならこの問題をどう解決しますか?といったことを皆で話し合うのです。

こうしたケーススタディーの本質は、「一社員としての視点」ではなく、上司の立場から見た「マネジメント思考」を学ぶことにあります。この経験は職場に復帰してからも非常に生かされました。

ママボノとプロボノでの成果を比べて、制約のある自分を客観視

その後は身につけたマネジメント思考を実践できる場を求めて、「ママボノ」にも参加しました。ママボノは、各分野の専門家が、職業上持っている知識やスキル、経験を生かして社会に貢献する、いわばママ版のプロボノです。

私は過去にもプロボノの経験があったことから、産前のプロボノの成果と、時間的な制約のある現在の自分の成果を見比べてみようと思いました。限られた時間の中でも、本当に劣ることのない成果を出せるか検証してみたかったのです。

もちろんプロボノとママボノでは所属団体も、解決すべき課題も違いますが、成果物のクオリティーであれば見比べられます。そうして実感したのは、「制約のあるなしなんて、何の関係もない」ということでした。まったく成果物が見劣りすることなどなかったからです。

時間的な制約は、「やらないこと」を見つけて取捨選択し、ゴールに集中できてさえいればいくらでも補える。その事実を知り、私は時短であろうと育休中であろうと、できないことなんてないという確信を得ました。育休が明けたら、「時短で復帰しよう」と決意したのです。

時短での職場復帰には、周囲のママたちにも相当反対されました。それでも考えを曲げなかったのは、私は仕事だけを優先するのではなく、子どもとゆっくり過ごす時間も確保したかったからです。それに、「時短でも成果が出せることを証明したい」という気持ちも強くありました。

「会社の復職相談」では、「育児にはゴールデンタイムがあるから時短で復帰したい。でも、だからといってやる気がないとは思わないでほしい。前とはやり方を変えて対応するので、どうか時間で見るのではなく結果で見てください」とはっきり上司に伝えました。

勇気のいる発言ですよね。でも、これは育休中に自分なりのテーマを持って、私にできる限界まで準備してきたからこそ言えたことでもあるんです。あとに続く後輩たちのためにも、時短をネガティブに捉える風潮をなくし、まずは、「時短では成果が出せない」という周囲のバイアスを外してもらいたかった。

上司の気持ちをくみ取る社員 だから時短でも昇進できた

結果として、半年後には社内初となる、時短勤務での昇進を果たすことができました。それを可能にしたのは、やはりテーマを持って育休中を過ごしてきたからですよね。

例えば、私は育休プチMBAによって「マネジメント思考」を学び、それまでのような自分視点での仕事ではなく、会社や上司の視点でやるべき仕事を判断できるようになりました。

それによって変わったのは、「仕事の優先順位のつけ方」です。緊急ではなくても重要な仕事というのはあって、だけど、多くの人は日々の業務に忙殺されてなかなかその業務に着手できていません。ですがそれは上司も同じなんですね。だからこそ、それができる部下は「かゆいところに手が届く社員」となれるわけです。

時間に制約があるからこそコミュニケーションを大切にしてきた

社内での円滑なコミュニケーションも大切にしてきました。時短勤務の人は、実務を優先するあまりコミュニケーションを後回しにしがちですが、私は月に一度は夫に子どもを預けて飲み会にも参加していました。「作業は一人でできても、コミュニケーションは一人では絶対にとれない」と考えていたからです。コミュニケーションをおろそかにすると、結局仕事は倍になって返ってきますよね。

こうしたコミュニケーションは上司との間でも、密にとるようにしていました。子どもの急な病気で欠勤したときにも、私は一人で抱え込まず、上司に状況を逐一報告しながら、子育てと仕事を両立する部下のリアルな姿を伝え続けました。

私の働きについて上司は、「時短勤務であることを感じさせない働き」と昇進理由のコメントに書いてくれましたが、これは、ささいな積み重ねが評価されたのだと思っています。

子どもができてもキャリアは諦めるものではなく、いくらでもやり方はあります。育休中の過ごし方次第で、その後のキャリアや心持ちはいくらでも変わります。現在は、2018年に立ち上げた「育休コミュニティ MIRAIS」を通じて、一人でも多くの女性に有意義な育休中の過ごし方考えてもらうべく活動していて、これこそが私のライフワークだと思っています。

栗林真由美さん
1982年生まれの37歳。夫と1歳と5歳の娘さんの4人暮らし。現在は、新卒で入社した富士通クラウドテクノロジーズに勤め、第2子育休から復帰したばかり。第1子出産後には、時短勤務での育休復帰にもかかわらず、新規プロジェクトマネジャーを担って社内初となる時短勤務での昇進を果たす。「育休をなんとなく過ごす」以外の選択肢を増やすべく、2018年8月には、育休コミュニティ「MIRAIS」を設立して精力的に活動中。

(取材・文 武末明子=日経DUAL編集部、写真 坂齋清)

[日経DUAL 2019年6月27日付の掲載記事を基に再構成]

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