いつも財布に「経営哲学」 迷ったら立ち返るJ&J流カルビー元会長 松本晃氏

松本晃氏は「J&Jのクレドは単なるお飾りではなかった」と振り返る
松本晃氏は「J&Jのクレドは単なるお飾りではなかった」と振り返る

プロ経営者の松本晃氏が、経営を考える上で最も強い影響を受けたのは米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の経営理念である「Our Credo(アワ・クレド=我が信条)」でした。今でも、それを印刷した小さなカードを財布に入れて持ち歩くほどだといいます。松本氏に、自身の経営哲学の根幹となっているこのクレドをとことん読み解いてもらいました。(前回の記事は「転職は『この指とまれ』で決まる プロ経営者・松本氏」

社員と家族を大事にする姿勢 70年以上前から

クレドは1943年にできたものです。翌年に上場し、プライベートカンパニー(同族企業)からパブリックカンパニー(株式公開企業)に変わるにあたって、「こういう考えで経営していきます」と会社の内外に宣言する意味がありました。そんな大昔に、これほど素晴らしいことが書けるなんて天才だと思いましたね。起草したのは、J&Jの創業者の息子で3代目トップのロバート・ウッド・ジョンソン・ジュニアという人で、その後63年まで会長を務めました。

クレドとは会社、すなわち社員一人ひとりが、どのステークホルダー(利害関係者)に対して、どんな責任を果たすべきかをまとめたものです。全部で4章、25の文章からできています。このうち25番目は、このクレドを全部きちんと実行できたら「株主は正当な報酬を享受できる」という結論を示す文章です。それぞれの章の最初には、どのステークホルダーに関する内容か示す「目次」のような役割の文章もありますから、正味は20カ条です。

ステークホルダーのなかで、最初に出てくるのが顧客と取引先です。2番目が社員とその家族、3番目が社会、そして最後が株主です。これは単に並べているのでなく、責任を果たすべき優先順位を示しています。

クレドは、どこを切り取っても素晴らしい内容です。特に感心するのは、社員とその家族についての第2章です。「社員一人ひとりは個人として尊重され、その尊厳と価値が認められなければならない」「社員が家族に対する責任を十分果たすことができるよう、配慮しなければならない」「能力ある人々には、雇用、能力開発および昇進の機会が平等に与えられなければならない」などと書いてあります。

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