クリスマスに輝く赤い宝石 イチゴショートケーキ10選
旬を迎えるイチゴのショートケーキはいかが。シンプルながらもこだわりが詰まった、一番人気のケーキだ。聖夜に、自分へのご褒美にしたい一品を、専門家が選んだ。
1位 アンリ・シャルパンティエ
ぜいたくな3粒が目を引く
ザ・ショートケーキ ろうそくの明かりに見立てた3粒のイチゴは「見た目にもぜいたく」(下園昌江さん)。イチゴの酸味を受け止めるようクリームの甘さとスポンジの風味がしっかり。「味に一体感がある」(沼田美樹さん)
通常生地を焼き1~2日おくが同店は2時間後に手早くクリームを塗り「スポンジはしっとりして口どけがよい」(下井美奈子さん)。伊勢丹新宿本店、博多阪急など生菓子を扱う54店で販売する。
(1)価格 616円(2)クリスマス時期の変更点 12月20~25日販売のケーキは金のピックをあしらい、702円で販売(3)http://www.henri-charpentier.com/
2位 コロンバン
90年変わらぬスポンジに懐かしさ
ショートケーキ大正天皇が食べる菓子の料理人が、フランス修業を経て1924年創業した。江戸時代から日本で親しまれるカステラをヒントに考案したスポンジは、卵黄が多めで見た目にも黄色っぽい。「卵が強く主張していて、懐かしい味わい」(大坪千夏さん)
乳脂肪分45%の生クリームはゆるめに絞り、温度によるひび割れを防いでいる。バニラビーンズを加え、風味を引き立たせた。イチゴはとれたての、本来の酸味を生かして加工せず使っている。「クリーム、スポンジ、イチゴのバランスがいい」(福田淳子さん)。小田急百貨店新宿店、阪急うめだ本店など10店で扱う。
(1)594円(2)変更なし(3)https://www.colombin.co.jp/
3位 フォートナム・アンド・メイソン
スポンジや生クリームと調和
ショートケーキイギリスの高級食料店が手掛ける一品で、小ぶりながらもスポンジとクリームは5層。2004年の日本初出店に合わせてレシピを考案した。スポンジにブランデーのシロップ、ラズベリージャムを塗る。「サンドされたイチゴの香りが感じられる仕上がり」(平岩理緒さん)
クリームには、北海道産の乳脂肪分40%の生クリームを使う。ミルキーさがありつつも、「生クリームとスポンジ、イチゴの調和がとれており、同時にとろける。抑えた価格設定に驚き」(村山なおこさん)。「かんきつ系の紅茶と合わせて楽しみたい」(猫井登さん)。東京・日本橋、福岡、仙台の三越、遠鉄百貨店などの店で販売
(1)411円(2)変更なし(3)https://fortnumandmason.co.jp/
4位 アニバーサリー
オレンジリキュールで爽やか
ショートケーキ結婚式など記念日用の菓子を扱う専門店。ホールケーキと同じように作る丸型で「1人で食べても気分が華やぐ」(里井真由美さん)。創業者のパティシエが「ホールケーキをまるごと食べたい」という子供時代の夢を形にした。
クリームにはオレンジのリキュールを少量加え、「爽やかな香りが漂う」(下園さん)。スポンジは小麦粉の量を抑え軽い食感だが、「弾力があり、卵の風味をしっかり感じられる」(平岩さん)。
(1)518円(2)12月21~25日は東京都の青山店、早稲田店でプラスチックの飾りやアラザンをあしらうなどデコレーションが変わる。594円(3)https://www.anniversary-shop.com/ ※札幌円山店は通年で四角形のケーキを453円で販売。12月21~25日はピックなどをあしらい、486円
5位 不二家
老舗の一品 子供も大人も
プレミアムショートケーキ(国産苺)他店に先駆けて日本でショートケーキを販売したとされる店の一品。時代や流行に合わせてレシピや形を変えつつ100年近く販売する。「ホットミルクとも相性がよさそうで、子供のおやつにもおすすめ」(猫井さん)
北海道産のクリームを使用。まろやかな甘みのあるオレンジリキュールを混ぜ、香りに奥行きを出す。スポンジは国産小麦100%を使う。「癖がなくシンプルな味わいでバランスもいい」(村山さん)。
(1)520円(2)12月21~25日はイチゴがあまおうに、生クリームが1層の「クリスマスあまおう苺のショートケーキ」を販売。600円(3)https://www.fujiya-peko.co.jp/
6位 アンテノール
シロップや洋酒使わず 素材の味
ショートケーキ創業40年超の神戸発の洋菓子店。多くの店舗に厨房を隣接し、作りたてのケーキを販売している。スポンジとクリームを5層に高く積み上げた。「スクエア型がスタイリッシュな印象」(沼田さん)
スポンジはきめ細かさを出すために、専用の薄力粉を使用している。しっとりとして口溶けよく焼き上げた。卵黄を多めに使うことで風味が豊かな仕上がり。「味が濃いのにふわふわで、意外な軽さ」(平岩さん)。素材の持ち味を生かすため、シロップや洋酒は用いていないのも特徴だ。阪神梅田本店、アトレ恵比寿など全国の店舗で販売する。
(1)594円(2)一部を除き厨房のある店舗では、12月23~25日はサイズが若干大きめの「ノエル・フレーズショート」を販売。使うイチゴの数は1.5粒から2粒になる。864円(3)https://www.antenor.jp/
7位 新宿高野
果肉を厚めにスライス
ストロベリーショートケーキ通年販売で、担当者が市場に出回るイチゴから、最もケーキに合う品種を選ぶという。スポンジに挟む分は厚めにカットし、歯応えも。「イチゴのおいしさを存分に楽しめる」(里井さん)
イチゴの魅力を最大限に引き出すため、クリームは甘さを抑えて軽やか。「甘すぎるケーキが苦手な人にもおすすめ」(福田さん)。ルミネエスト新宿、JR名古屋高島屋など
(1)648円(2)12月21~25日は紙の飾りがつき、名称は「Xmasショートケーキ」に変更(3)http://takano.jp/takano/
8位 ガトー・ド・ボワイヤージュ
雪のような白さ 際立つ赤
苺のショートケーキ横浜の馬車道に本店を置く洋菓子店。「イチゴの飾られ方は目を引く」(秋山敏信さん)。北海道産の生クリーム2種類を混ぜて絞り、雪のような白さを表現。粉糖をふるい、イチゴの赤を際立たせた。
スポンジは口溶けをよくするため、気泡の加減を調整しながらかき混ぜる。「シロップをしっかり染み込ませたしっとり感が印象的」(村山さん)。大丸京都店など
(1)540円(2)12月21日~20年1月6日は大粒イチゴが1つで、飾りがつく(3)https://gv-yokohama.co.jp/
9位 ヴィタメール
厚めの生クリーム、軽い仕上がり
フレーズ・ド・ヴィタメールベルギーの菓子店。ホールケーキを切り分けて売る慣習がないベルギー流の丸形で、1990年の日本初出店時にレシピを考案した。「キャンドルみたいでかわいい」(沼田さん)
イチゴが縦に入るほど、厚みがあるクリームの層が特徴。なめらかにとろけるよう試行錯誤したという。クリームは多めに見えるが、スポンジが薄く「軽い仕上がり。全体的にちょうどよい」(秋山さん)。阪神梅田本店など
(1)594円(2)変更なし(3)https://www.wittamer.jp/
10位 ブールミッシュ
クリームの甘さ、酸味に合わせ
苺ショートケーキ 東京・銀座に本店を構えるフランス菓子店。2粒のイチゴをあしらったケーキは「大きめなので、たっぷり食べたい人向き」(福田さん)。
イチゴの酸味に合わせ、クリームの甘さは抑え気味。スポンジは卵をしっかり泡立て、気泡の大きさを均一にし「きめがこまかい」(小島ルミさん)。西武池袋本店、東急百貨店札幌店など全国で販売
(1)605円(2)12月10~25日はイチゴが1粒、ホワイトチョコの雪の結晶や紙の飾りをあしらう(3)http://www.boulmich.co.jp/
90年前には登場 祝いごとの定番
宝石のように輝くイチゴ、きれいに絞られた生クリーム。イチゴのショートケーキは祝いごとなど様々な場面で気持ちを盛り上げてくれる定番ケーキ。1920年代、すでに「ショートケーキ」という名の菓子が販売されていた。50年代ごろ「冷蔵庫の普及と一緒にショートケーキが家庭で味わえるようになった」(猫井さん)。
真っ赤なイチゴは、クリスマスの象徴だ。しかし俳句では初夏や夏の季語。露地栽培では4~5月ごろが旬だからだ。もっとも、施設栽培の生産は8割超に高まり、12月から出回る。「クリスマスのケーキに合う味わいや形、断面がきれいな品種を目指し生産するようになったからでは」と野菜ソムリエ上級プロ、高崎順子さんはいう。
今回のランキングは通年販売しているイチゴのショートケーキを対象に11月初旬に選考した。クリスマスの時期にイチゴの品種や飾り付け、ケーキの形状などを変更する店もあるが、味わいのベースになるスポンジ生地やクリームは同じ商品をそろえた。
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[NIKKEIプラス1 2019年11月30日付]
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