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東大と京大、経済学部100年 定年や給与・入試見直し

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東京大学と京都大学が、日本の大学では最も早く経済学部を創設してから今年で100年がたちました。海外の大学との競争が激しくなるなか、様々な取り組みを始めています。

英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が教育や研究の水準などを総合的に評価する今年の世界大学ランキングでは、日本の大学で上位100校に入ったのは東大(36位)と京大(65位)でした。経済学部では東大は31位、京大は83位で、トップの米マサチューセッツ工科大学など英米の著名大学とは差があります。

東大は世界での評価が高い研究者をそろえ、研究の水準を高めようとしています。9月、米スタンフォード大学から星岳雄教授を招請したのは一例です。2018年、米アリゾナ大学に移籍した市村英彦教授を東大との兼務としたのは、頭脳流出を防ぐのが狙いです。4月には神取道宏教授を、最長75歳まで研究に専念できる特別教授に任命し、特に優れた研究業績を残していれば定年(65歳)を超えても残れる前例を作りました。

経済学部長の渡辺努教授は「米国で活躍する若手の経済学者も引っ張りたい」と意欲を示します。米国と日本の大学には教員の給与格差があり、移籍の障害になってきましたが、個人や企業からの寄付金などを原資に給与格差を穴埋めし、移籍を促す意向です。「教員間で給与格差がある米国型に徐々に移行する」と渡辺氏は予測します。

京大は入試や教育制度の改革に力を入れています。09年度入試から理系出身者の定員を設ける「理系入試」をスタートさせ、同年度には経済と経営の学科制度を廃止するといったカリキュラム改革に踏み切りました。現在、理系入試の拡充やデータサイエンス教育の強化を検討中です。教育改革担当の依田高典教授は「100周年を意識して10年前から体系的な教育制度の導入に取り組んできた効果が表れ、学生全体のレベルは上がっている」とみています。

ただ、経済学部の「自学自習」と呼ばれる伝統と体系的な教育制度とは相反する面があり、多くの教員はジレンマを感じているといった声もあります。

100年の間に、経済学自身も大きく変わりました。東大ではマルクス経済学と現在の標準的な経済学に当たる「近代経済学」が長く拮抗してきました。旧ソ連の崩壊後、マルクス経済学を専攻する人が減る一方、新分野が続々と生まれています。東大の岡崎哲二教授は「経済学は理論と実証、経済史を柱とする総合的な学問で、広い視野を提供できる」と強調します。100年後、経済学はどんな学問になっているのでしょうか。

渡辺努・東大経済学部長「実験と制度設計、ますます重要に」

東京大学と京都大学が経済学部を創設してから今年で100年。日本の経済学の変遷と、今後の展望を東大経済学部長の渡辺努教授に聞きました。

――1919年に学部が発足した当初、経済学はどんな学問だったのでしょうか。

「東大は創立翌年の1878年、文学部の中に『経済学』の講座を設けました。美術史家・哲学者のアーネスト・フェノロサが講師の一人で、古典派経済学者のジョン・スチュアート・ミルの著作を教材にしたそうです。その後、経済学の講座は法学部に移りました。日本の財政や商業を取り上げる講座が生まれ、実学・実務教育を重視していました。経済学部が発足した当初は、実務を教える学部という色彩が濃かったのです」

「その後、急速に戦争の足音が強まり、国のあり方や統制の方法を考える『国学』を奉じる学者が現れます。一方、マルクス経済学を中心に社会科学としての経済学を追求する学者も台頭し、両者が対立する構図が生まれました。反対勢力は軍に目を付けられ、逮捕されるといった事件が起きました」

――終戦後、どう変わりましたか。

「終戦で国学は消え、実学も下火になりました。社会科学を追求する学者たちが中心となったのです。マルクス経済学が大きな柱でしたが、『近代経済学』と呼ばれる現在の標準的な経済学の源流となる経済学も入ってきます。それ以来、経済学部では、マルクス経済学と近代経済学が二大勢力として拮抗してきました」

――ビッグデータ時代を迎え、マイクロデータを活用した実証分析に携わる経済学者が増えています。

「データ分析や実験を柱にした研究が圧倒的に多くなっているのは確かです。かつては『こう仮定すれば、こういう結論が出ます』と数式や論理を展開する理論経済学が隆盛で、『べき』とか『はず』という言葉をよく耳にしました。ところが、『その仮定は正しいのですか』と質問すると『よく分かりません』といった、やり取りがありました。色々な事例から、現実に沿わない仮定に基づく理論にはあまり有効性のないことが分かってきました。現在は、理論経済学者も『役に立つ理論』という目標を掲げ、現実の大事な部分を捉え、データによる検証が可能な理論を構築しようとしています」

――今後はどんな展開が考えられますか。

「50年前にはなくて、今ある研究のスタイルは、『こういうことをやったら、こういう結果が出た』という因果関係をデータから上手に拾い出す研究で、政策の効果を浮き彫りにできます。さらにこれを進め、『こういうものを作るには、どうしたらよいか』を次のステップとして考え始めています。ミクロ経済学のメカニズムデザインが一例です。例えば、臓器移植やオークションで、みんながハッピーになるにはどんな仕組みがよいのかを考えます。経済学では実験と制度設計がますます重要になっているのです」

「これは自然科学と発想が似ています。自然科学では実験をしながら『こういうモノを作るにはこうしたらよい』と考えるのですが、経済学でも同じような発想が生まれています。ただ、私はさらにその次があると考えています。自然科学の世界では、例えば自動車の自動走行に人工知能(AI)を搭載します。事故が発生したときに右にハンドルを切ると学生の集団、左には高齢者の集団がいるとき、どちらにハンドルを切るかを事前にプログラムする必要があります。この意思決定は、民族や宗教などによっても異なるでしょう。ここがAIの最大の悩みです。人間が何をしたいのかが分からないので先に進めないのです」

――経済学はそうした問題に対応できるのでしょうか。

「経済学は人間の幸せとは何だろうかとか、経済格差はないほうがよいといった問題をずっと考えてきた学問です。社会的選択の理論は、現在はあまり取り上げられませんが、AI時代にこそ、経済学の社会科学的な側面が求められるのではないでしょうか」

(編集委員 前田裕之)

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