コペンGRスポーツ スキのない軽オープンカーに進化

2019/12/15
ボディー剛性を高めるべく、フロントにはブレースを追加し、センターはブレースの形状を変更。リアはブレースの強度を高めている

GRスポーツのスイートスポット

今回は拠点となった大磯プリンスホテル駐車場に特設されたパイロンコースと、短時間の公道試乗にかぎられた、しかし、まずは標準、そしてSという2台の既存コペンに続いてGRスポーツに乗ってステアリングを一発切ったら、その瞬間に思わず笑みがこぼれた。素直に素晴らしく気持ちよく、いきなりピタリとコントロールできる。

いかにも引き締まったSの身のこなしと比較すると、GRスポーツは明らかにロールが大きい。減速や操舵ですみやかに荷重移動して、挙動変化も小さくないのだが、かわりにタイヤのグリップ感・接地感は鮮明かつ濃厚である。フロントからきれいにゆったりロールしてくれるので、うまくキッカケを与えると、リアを滑らせるようなコントロールもたやすくかつ正確にできる。

適度なロールをともないながら、鮮明な接地感とともにコーナリングする「コペンGRスポーツ」

この点について、ダイハツサイドで操安開発チームリーダーをつとめた西田 駿さんは「バネレートも減衰力も、GRスポーツはSより低い設定です。安定感のあるフラットな乗り心地、しなやかな追従性と接地感、クルマとの一体感の向上を目指しました」と説明する。

もちろん、ビルシュタインを使うSのフットワークも今さらながら悪くはない。スラロームとレーンチェンジが用意された特設パイロンコースでは、あえてGRスポーツのスイートスポットが味わえる推奨速度が設定されていた。その推奨速度を守るかぎりは、なるほどタイヤがグリップしている様子が手に取るように感じ取れて、リアが粘りすぎないGRスポーツのほうが気持ちいい。

ただし、そこからさらに速度を上げて、ステアリング操作もより速めると、よりハードな仕立てのSのほうが姿勢もフラットに安定して速い。場合によってはGRスポーツと乗り比べたうえで、純粋にSが好ましい……というエンスーもいるだろう。「好みが分かれることは想定済み。すべてのコペンの味つけがGRになるわけではなく、今後も併売していきます(ダイハツ南出さん)」とのことである。

「GRスポーツ」シリーズではパワートレインには手を入れないのが常。「コペンGRスポーツ」でも0.66リッター直3ターボエンジンのスペックやトランスミッションのセッティングは標準車からそのまま

最大級の賛辞を贈りたい

市街地や高速道路でも、GRスポーツは明らかに乗り心地よく、印象的なほどヒタリとまっすぐ走る。操安リーダーの西田さんが試乗前に「ルーフを閉めて乗ってみて」とおっしゃっていたので試したら、なるほど土台がしっかりしたことでアシはより滑らかにストロークして、乗り心地はさらに快適、接地感はより濃厚、ライン取りの正確性もグッと高まった。

こうした傾向は、大なり小なり、すべてのオープンカーがもっている。しかし、ルーフの有無によるちがいが、これまで乗ったどのコペンより明確に感じ取れたのは、それだけGRスポーツのアシがよく動いて、車体が硬質で、より繊細に調律されているからと思われる。

センターコンソールやドアグリップをピアノブラックで飾ったインテリアは「GRスポーツ」専用

GRスポーツでは変速機もほかのコペン同様に、5段MTとCVTから選択可能。そして5段MTにのみトルク感応型の「スーパーLSD」が標準装備(他のコペン5段MT車ではオプションあつかい)となる。

コペンでのスーパーLSD効果は強力無比で、アクセルを踏み込むと路面にかみついたようにクルマが前に出る。前輪がよりしなやかに接地するGRスポーツでは、その独特のグリップ感が手のひらにもっとリアルに伝わってくるのが快感だ。この強力なトラクションを利して、タックイン気味に曲がるときのコントロール性も、これまでより一枚上手である。

次のページ
「自分で乗るならこうしたい」を形に
今こそ始める学び特集