会社のパソコンで株取引 借金まみれのモンスター部下
フェリタス社会保険労務士法人代表 石川弘子(6)
画像はイメージ =PIXTA
あり得ないようなトラブルを巻き起こす「モンスター部下」が最近増えているという。相談をよく受ける社会保険労務士の石川弘子氏は、その実態と対処法を近著「モンスター部下」(日経プレミアシリーズ)にまとめた。
石川氏が相談を受けたモンスター部下の実態を同書から紹介する。
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リフォームやエクステリアの設計・施工を行う従業員数20名ほどの設計事務所。社内は自由な雰囲気で、人間関係も和気あいあいとしている。
登場人物
K林:B設計事務所でデザインを担当する30代男性、独身。遅刻をしたり、クライアントとの約束を忘れたりと、何かと問題を起こす。
Y橋:マネージャーを務める40代男性。誠実な仕事ぶりが評価され、マネージャーに抜擢された。K林の上司で、何かと問題を起こすK林に悩まされている。
O矢:K林の後輩で20代独身男性。独特のデザインセンスを持っており、クライアントの評価も高い。ただ、気分が乗らないと仕事を断ったりと、何かと扱いにくい。
B内:B設計事務所代表。50代男性。大手建設会社を退職後、20年前に同事務所を創業。細かいことにこだわらない大らかな性格。
客先からクレーム殺到の社員。その理由は……
「いい加減にしてくださいよ! これで3回目ですよ。どうなっているんですか?」
Y橋はクライアントからのクレームの電話に平謝りだった。
「申し訳ございません。本人に確認して大至急対応するように伝えますので」
何とか収めて電話を切ると、Y橋は大きくため息をつき、近くにいたO矢に声をかけた。
「おい、K林はどこ行った?」
O矢はパソコンのモニターから目を離さずに、「さぁ? ホワイトボードに書いてません?」と気のない返事をした。Y橋が行動予定が書いてあるホワイトボードを見ても、K林の予定は空白だ。(全く、いい加減にしてくれよ……)Y橋は怒りを覚えながらK林の携帯に電話を入れた。何度目かの呼び出し音の後で、K林が電話に出た。
「おい、今どこにいる? ○○さんから電話があって、納期がまた延期になったってかなりお怒りだぞ。どういうことなんだ?」
K林は、「先方も納得していたんですけどね?」など、他人事のような返事をすると、「今打ち合わせ終わったんで、とりあえず今から戻ります」と言って電話を切った。