『ゲーム・オブ・スローンズ』 全作ランクインの快挙
2019年10月 海外ドラマ月間レンタルランキング
今年の海外ドラマ界で最大の話題といえるのが、2011年から全米放送が始まり、世界中に熱狂的なファンを生んだ『ゲーム・オブ・スローンズ』が、8シーズン目にしてついに最終章を迎えたこと。日本でも人気がうなぎ登りとあって、TSUTAYA海外ドラマ月間レンタルランキング10月度では1位に初登場。8シーズンの全作がトップ30にランクインする快挙を成し遂げた。
『ゲーム・オブ・スローンズ』は、架空の王国を舞台に、複数の名家が繰り広げる壮絶な覇権争いを描くスペクタクル巨編。米国の大手ケーブル局HBOが、ジョージ・R・R・マーティンのベストセラー小説「氷と炎の歌」シリーズを映像化。シーズンを重ねるごとに世界中でファンを増やし、最終回の視聴者数は米国内だけで1930万人に達し、HBOの歴代最高記録を樹立した。今年の第71回エミー賞では作品賞ほか12部門で受賞、第68回での同作の受賞数に並ぶ史上タイ記録をつくるなど、名実共に海外ドラマ史上最高傑作との呼び声も高い。
最終章のストーリーはこうだ。架空の大陸ウェスタロスを舞台に、鉄の玉座を巡って激しい権力争いを繰り広げてきた七王国。その争いは、ラニスター家からバラシオン家へと嫁ぎ、陰謀の末に鉄の玉座についた女王サーセイと、東の地で力を蓄え、ウェスタロスに進軍したターガリエン家の女王デナーリスという2人の女王の対決に絞られてきた。しかし、彼らに共通の脅威となったのが、夜の王が率いる異形の怪物ホワイト・ウォーカーと死者の軍団だ。<壁>を壊して進軍してくる軍団に備え、これまで敵同士だった者たちがスターク家の本拠地ウィンターフェルに集結。一方、王都ではサーセイが鉄の玉座を死守するために、ホワイト・ウォーカーと戦うデナーリスたちの背後を虎視眈々(たんたん)と狙っていた……。
約90億円を投じた最終章では、2つの壮絶なバトルが大きな見せ場となる。ホワイト・ウォーカーとの最終決戦、そして王都でのサーセイとデナーリスの2人の女王による玉座を巡る最後の戦いだ。2つの戦いを通して多くのキャラクターが命を落とすが、そこに至るまでの数々のエピソードが鮮やかに浮かび上がり、心を揺さぶられる場面がいくつも盛り込まれて、大きな感動を呼び起こす。
スピンオフの製作が決定
TSUTAYAマーケティングカンパニー UX・MD部 映像レンタルの後藤信之氏によると、「最終章のレンタルユーザーは男性77%、女性23%。メインは40代で、次に50~60代がボリュームゾーンです。最終章とあってファンの期待度は高く、レンタルの初動は想定を上回りました。通常の人気シリーズがファイナル・シーズンを迎える場合、前シーズンより実績が上回ることもあるのですが、『ゲーム・オブ・スローンズ 最終章』は前シーズンからの伸び率が他の人気シリーズよりも高いです」。
また、全シーズンを通して、他の海外ドラマにはない特徴的な動向も見受けられた。通常、海外ドラマの実績はシーズン1をピークに、シーズンを追うごとに減退する。しかし、『ゲーム・オブ・スローンズ』の場合は、第一章をピークにその後は減退するところまでは他作品と同じだが、第四章からはシーズンを追うごとに前シーズンを上回るようになり、結果的に第三章が底で、最終章が第一章の次によい実績となることが見込まれるという非常に珍しい動向となった。
10月度のランキングを見ても、1位の最終章を筆頭に、6位に第一章、9位に第二章、14位に第七章、19位に第三章、23位に第四章、24位に第六章、26位に第五章と、トップ30に8シーズンの全作がランクインしている。
「全シーズンのトップ30入りは、大ヒットシリーズ『ウォーキング・デッド』以来の快挙。『ゲーム・オブ・スローンズ』はダウントレンドの市況のなか、うなぎ登りで人気を伸ばした他に類のないキラーコンテンツ作品といえます。最終章を迎えたのは残念ですが、新たなファンも取り込んでいるので、息の長い人気シリーズとなりそうです」(後藤氏)
世界中に多くの熱狂的なファンを生んだ『ゲーム・オブ・スローンズ』の反響を受けて、HBOではデナーリスの出身家であるターガリエン家の歴史を描く外伝を原作にしたスピンオフの製作を決定。『ゲーム・オブ・スローンズ』のブームはまだ続いていきそうだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
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