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女性アイドルの進路 芸能界に残るか、新天地目指すか

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NIKKEI STYLE

世はアイドル戦国時代だという。活動中のアイドル数は千組を超え、人数は1万人以上と過去最多だ。アイドルを女性のキャリアの選択肢としてみると、様々な進路や可能性が開けてくる。

橋本ゆきさんがアイドルになったのは、東京大学に入学した直後だ。所属するグループ「仮面女子」は、CD売り上げランキングで1位を獲得したこともある。芸名は桜雪、中核メンバーだった。東大生アイドルとしてメディアに登場することも多く、討論番組やニュース番組からも出演依頼がきた。

仮面女子のライブは平日夕方から2回、ほぼ毎日ある。3限の授業が終わるとトイレでステージ衣装に着替え、4限の授業が終わるや秋葉原に直行した。派手な衣装で授業を受けていれば、変人扱いされるまでに時間はかからない。ライブが終われば反省会、新しい曲や振り付けの練習だ。そのまま楽屋で大学の課題リポートを仕上げて仮眠、早朝から開いている銭湯に行って大学へ。目の回るような日々だったが、なんとかアイドルと学業を両立させた。

就職活動の時期が近づき、両親に「いつまでアイドルをやるつもりなの」と言われた。大学の友人たちは当たり前のように、有名大企業へと進路を決めていく。橋本さんも就活をした。フジテレビから報道の仕事で内々定を受けたが、どこか違和感があった。

変人とまでいわれながら人と違うことを4年間やり抜いたのに、人と同じような就職をしていいのか。在学中も東大生の先入観、イメージ、常識を打ち破ったという自負があった。ここで辞めるのはもったいない。アイドルを続けよう。東大生はアイドルのキャリアを選んだ。

寺嶋由芙さんは早稲田大学に入学した19歳の時、アイドルグループ「BiS」に加わった。中学、高校時代からモーニング娘やAKB48のオーディションを受けていたが、落ち続けた。寺嶋さんがアイドルデビューしたのは19歳で、ギリギリの年齢だ。20歳を過ぎると応募資格から外れるオーディションも多い。寺嶋さんはすれすれで間に合ったアイドルだった。

BiSに加わったものの給料は出なかったので、午前中にカフェでアルバイト、午後は授業、夕方からライブという多忙な日々を送った。大学4年生の5月にグループを抜け、6月から教育実習に参加した。

実習に入ってみると、いろいろな思いが頭をよぎった。国語の教師は、アイドルと並ぶ子供のころからの夢だった。教師は子供の人生に大きな影響を与える仕事だ。本当はアイドルを続けたかった、そんな思いを引きずったままの生半可な気持ちで取り組める仕事ではない。

教師になるチャンスはこれからもあるだろう。でもアイドルは今しかできない。大学を卒業する直前の2月、ソロアイドルとしてデビューした。

寺嶋さんは「アイドルなのに、しっかりしてますね」とよく言われる。ライブ会場で国語教育の重要性を訴えたり、言葉の大切さを親子で学ぶイベントに参加したりする。ゆるキャラが好きで、全国のゆるキャラと一緒に地方活性化ための行事にも参加する。コンサートでは「早稲田大学出身、真面目なアイドル、真面目にアイドル」とあいさつする。自分にしか表現できない、ちょっと知的なアイドル像を模索する日々だ。

木下綾菜さんは高校1年生、16歳のときにアイドルになった。千人以上が参加したオーディションを勝ち抜き、松田聖子さん、早見優さんほか大物アイドルを多数輩出したサンミュージックからデビューした。同社にとって20数年ぶりのアイドルで、相沢秀禎会長自ら命名した「さんみゅ~」のメンバーに選ばれた。

デビュー後、メンバーの多くが通信制の高校に移る中、木下さんは通っていた県立高校から大学に行くと決めていた。高校時代は新曲のプロモーションなどで、1週間まるまる授業に出られない時もあった。地方遠征の時はメンバーより早く飛行機に1人で乗り、定期試験に駆けつけることも珍しくなかった。「高校時代が1番、睡眠時間が短かったかな」と振り返る。

アイドルという仕事はずっと続けられない。木下さんには漠然と意識する仕事が別にあった。父親と同じ観光業だ。大学も観光関係の学部を選び、旅行業務取扱管理者の国家資格も取得した。

「さんみゅ~」はデビュー曲が岡田有希子さんの「くちびるNetwork」のカバー曲だったため話題となり、鳴り物入りデビューと注目された。ただ当時は、その後8年間も人気が続くとは思わなかった。

木下さんは2019年3月、大学を卒業した。就活の時期になり、周りがエントリーシートだ面接だと、ざわざわしているのをみると、さびしい気持ちもあったが、自分はアイドルとしてやっていこう、この世界で、大学で学んだことを生かしていこうと決めた。観光業界への道はもう頭になかった。高校、大学と7年間、普通の学生生活を垣間見ることができたのはいい経験だったと思っている。

「さんみゅ~」は惜しまれつつ、20年3月に解散する。今後は単独でのアイドル活動が中心になるが、ファンとの交流イベントを企画したり、テレビの旅行番組に関わったり、アイドルという仕事の幅を自分なりに広げていきたいと考えている。

大学卒業を機にアイドルも卒業する例も少なくない。人気グループ「tipToe(ティップトゥ)」のリーダー花咲なつみさんは20年3月に大学を卒業し、一般企業に就職する。アイドル時代の経験は自分の武器になると、就活でもアイドルであることを隠さなかった。

10代後半から20代前半でアイドルになり、10年近く全力で駆け抜ける。だがいつかその日はやってくる。卒業と言う名のメンバー入れ替えや、グループ解散はアイドルにとって大きな転機になる。

橋本ゆきさんは19年3月、「仮面女子」を卒業し、4月の統一地方選挙で渋谷区議会議員に当選した。政治家を目指したのは、若い世代を元気にしたいと思ったからだ。アイドルに続き、今度は政治の世界から若い世代にメッセージを送りたい。仮面女子のメンバーの1人が事故で車椅子になってしまったが、彼女はアイドルを続けている。「すごいな」と思った。「諦める人を少しでも減らしたい。女性だから、障害があるから、お金がないから、様々な理由で夢を諦める若者は多い。そんな若い世代の仲間たちに、諦めなくていいんだよと背中を押したい」

現在、26歳。渋谷区議の任期が終わると30歳になる。国政を目指すのかとよく聞かれるが、「4年後に社会の仕組みがどう変わっているのか、今の時点では想像もつかない。4年後の大きく変わった社会で自分は何をしたいのか、何ができるのか、そのときのベストの道を考えたい」。今は議会での初の代表質問に向けて、準備に余念がない。

人気グループ「アフィリアサーガ(現「純情のアフィリア」)」のリーダーだった水口ルイズさんは現在、所属していた大手芸能事務所メージスの正社員として、プロデューサーの仕事をしている。大学を出た後、22歳でアイドルになった。目いっぱい頑張ってきたが、30歳を目前にして考えた。これから先どうしよう。そんな時、事務所の社長が思わぬ進路を示してくれた。アイドル時代の経験を生かし、後輩を育て、支える仕事をしてみないかと。

水口さんはアイドル時代から、自分が目立つより、メンバーに光が当たるのが好きだった。リーダーに指名された時も、1週間断り続けた。正社員になるのだからと、これまで縁のなかったビジネス書を読みあさった。30歳手前までアイドルをやってきたから、社会人としての最低限の常識を身につけようと心がけた。

メージスには水口さんのほかにアイドル出身の正社員が1人いる。舞台裏からアイドルを見るようになり、現役時代に見えなかったことが見えておもしろい。「就職できるアイドルって、ちょっといいでしょ」

憧れだったアイドルになって今は楽しいが、10年後の自分はどうなっているのか。そんな漠然とした思いを抱えるアイドルは多い。水口さんは語る。「出口に不安を持つ後輩たちに、1つの道を示せたかな」

なるのは難しいが、納得して辞めるのはもっと難しい。それがアイドルという職業だ。

「雲の上」から身近に ~取材を終えて~

山口百恵さん、松田聖子さんなど昭和の時代のアイドルは雲の上の存在で、実物を目にすることも難しかった。今のアイドルは毎週のようにライブを開き、終了後は握手ができ、一緒に写真もとれる。男性の憧れの的だったアイドル像は、AKB48の登場後大きく変わった。アイドル自身も、この道一筋で志したという層から、キャリアの1ステップと捉える女性へと裾野が広がっている。

一方でCDの売り上げは年間1500億円程度でピークとなる20年前の4分の1だ。インターネットで曲をダウンロードするサービスが普及したためで、最近は定額使い放題になり、1曲あたりの単価は0.1円以下だという。1枚千円のCDを売るために、握手や写真撮影の権利をおまけに付けている。そうでもしないとCDは売れない。タオルやTシャツなどグッズも貴重な収入源だ。アイドルという職業は今も昔も楽ではないが、それでもなりたいと思う若い女子は後を絶たない。

(編集委員 鈴木亮)

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