「スマホ猫背」は不調の元 姿勢正す3つのきくち体操ビジネスパーソンの不調を「きくち体操」で解決(上)

日経Gooday

2019/12/5

フィットネス

姿勢を良くするためには、背筋を強くすることが重要(イラスト 内山弘隆)
姿勢を良くするためには、背筋を強くすることが重要(イラスト 内山弘隆)
日経Gooday(グッデイ)

赤いレオタード姿がトレードマーク、現在85歳ながら、開脚やY字バランスも楽々こなす菊池和子さんが創始した「きくち体操」をご存じだろうか。手足の指などの体の末端、足首や膝裏、股関節、肘など、普段あまり意識しない場所を意識して動かす。歯を食いしばって、鍛えたりはしない。動かすところに意識を向け、ゆっくりと丁寧に「脳を使って」動かすことで、脳と体の機能を相互に活性化させ、心身の不調改善につなげていくという体操だ。

中高年に多い不調への対策を体系化した『医師が認めた!究極のきくち体操』(日経BP)

50年以上もこの体操を教室で教え続けている菊池さんが4人の医師とコラボし、現役世代のビジネスパーソンに向けて初めて出版したのが最新刊『医師が認めた!究極のきくち体操』(日経BP)だ。メタボ、ロコモ、肩凝り、腰痛、姿勢、睡眠トラブル、物忘れなど、ミドルエイジが抱えがちな10の不調を解決するための「きくち体操」の肝となる考え方、合計40に及ぶ主要メソッドを一挙公開している。今回は、本書から「姿勢」「肩凝り」の2つのパートを抜粋し、きくち体操流の考え方、メソッドを紹介していく。今回は「姿勢」編だ。

猫背は高血圧、めまい、不眠の原因にも?!

外を歩いている時に、ふとショーウインドウに映った我が身を見て、「なんか背中丸まっている?」、そう感じたことはないだろうか。猫背以外にも、疲れると背中が痛む、下腹がぽっこり出ている、反り腰などが思い当たる人は要注意。姿勢が崩れている可能性が大だ。最近では、長時間のスマホ利用により背中が丸まる「スマホ猫背」という言葉ができるほど、猫背は、現代人に多い体の悩み。

猫背など姿勢が悪いと、単に老けて見られてしまうだけでなく、実は、健康に及ぼすインパクトがとても大きい。「企業で働くビジネスパーソンの皆さんは、パソコンで作業をしたり、机で資料をチェックしたりと、日中は前かがみで行う動作が多いもの。こうした前かがみの姿勢が続いたら体の中ではどんなことが起こるのか。まず考えてほしいのが、背骨への影響です」。現在も日々、多くの中高年世代の生徒の体操指導にあたる菊池さんはこう指摘する。

「背骨は唯一、体の中で直接脳につながっている骨。24個の小さい骨がつながってできており、そこは、神経の通り道でもあります。神経の束が背骨を通して、脳の指令をきちんと体の隅々に届けているからこそ、たくさんの内臓が正常に働き、体を思うように動かすことができます。その背骨が姿勢の影響でゆがんだり、骨が変形してしまったら、神経は圧迫され、血液やリンパの流れが滞り、脳に届くはずの酸素の量も減ってしまいます。そうなると、影響は見た目どころか、全身に及びます。高血圧、めまい、不眠などの自律神経のトラブルが起きたり、疲れやすい体になっていきます」。

姿勢が崩れると、どんな特徴が出てくるのか、まずは下のイラストを見てみよう。首は前に出てしまい、肩が前に入っていて、お尻は下がっている。おなかは下腹がぽっこりだ。「最近では、ゲームやスマホの利用が多い若い人にもこうした姿勢が目立ちますが、これらは高齢者に多く見られる、典型的な“老けて見える”姿勢」と菊池さんは話す。「胸が圧迫されるから、深い呼吸はできません。膝は曲がって、いずれは骨が変形したり、腰への負担も増すので、ますます、動くのがおっくうな体になってしまうというデメリットもあります」。

全身が映る鏡で、正面、横の姿勢を確認。肩が左右どちらかに傾いていたり、悪い姿勢のようになったりしていないか、チェックしよう。後ろ姿を、家族に見てもらうのもいい
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肩甲骨を1ミリ下げる