No.1カバーガール大原優乃 役を生きる女優になりたい
日経エンタテインメント!がカウントした、2019年の雑誌表紙登場回数ランキングの1位は大原優乃。ダンスボーカルグループ「Dream5」のメンバーとして16年末まで活躍後、ソロ活動をスタート。17年に雑誌『週刊プレイボーイ』でグラビアデビューし、黒髪の優等生というイメージとプロポーションの良さを生かしたグラビアのギャップで人気に。今年3月には昨年1年間、約1万誌の雑誌・フリーペーパーなどで最も多く表紙を飾った女性に贈られる「カバーガール大賞」に輝いた。
「グラビアを始めた頃は、ソロになっていただいたチャンスだから全力で打ち返したいと、パワーがみなぎっていました。最初は笑顔の写真を使っていただくことが多かったし、元気100%のイメージを持っていた方が多かったような気がします。ただ、お仕事を重ねていくなかで、笑顔1つとっても、いろんなものがあるということが分かってきて。撮影をした場所の景色や着ている衣装によって、違う表情を見せられるようになりたいと考えるようになりました。
それと同時に、自分らしさを伝えたいという思いも芽生えて。例えば、私はずば抜けた美女というわけでもないし、どちらかと言えばクラスに1人はいて『友達になれそう』と思ってもらえるような、親近感のあるタイプ。それなら、もっとリラックスして撮影に臨んだほうがいいのかなとか、自分と向き合うようになりましたね。
そういう意味では、グラビアを始めたときよりも今のほうがプレッシャーは大きいかもしれません。多くの雑誌で表紙やグラビアを飾らせていただいたから、スタッフの方は新しい大原優乃を引き出そうとしてくれる。それに応えながら、自分らしさも出すにはどうしたらいいんだろうと考えたり。評価もされないと、同じ雑誌にもう一度呼んでもらえないので、『前の号は売れました?』と聞いちゃうこともありますね(笑)」
初の連ドラでオペラを歌唱
「10月8日の20歳の誕生日を記念して2冊目の写真集が出るんですが、今回は打ち合わせから参加して、私の意見も聞いてもらいました。『最後の10代を残す』をテーマに、地元の鹿児島で撮影したり、パーソナルな部分も見せたものになっていて。4回に分けて撮影をしたので、季節の変化も収められています。それに合わせて私も変わろうと、トレーニングをして体を絞ったりもしました」
グラビアの仕事が順調に続く一方、19年は1月期の『3年A組―今から、皆さんは人質ですー』、5月からは『都立水商!~令和~』と2本の連ドラにレギュラー出演するなど、最近は女優としての活躍も目立っている。
「今、一番やりたいお仕事がお芝居です。もともと憧れはありましたが、自分には難しいかなと思っていました。でも、グラビアのお仕事をさせていただくうちに、大人っぽい表情をしたりとか、演じることと近いんじゃないかなと徐々に思うようになったんです。
『3年A組』は初めての連ドラでしたし、オーディションでつかんだ役でもあったので、とても思い入れの強い、出合えて良かったと思う作品です。プロデューサーの福井(雄太)さんからは『真面目で一生懸命な人を選んだ』と言われました。『真面目な人はダサいと言われるかもしれないけど、最後は勝つから自分を信じて頑張りなさい』という言葉が胸に残っていて、今も励まされています。同世代の共演者が本気で役に向かっていく姿も刺激になりましたね。
振り幅が大きい生徒も多い中、私が演じた佑香は普通の女の子。『普通って何だろう?』って考えるところから始まって、みなさんのお芝居を見ながら少しずつ役を作っていった感じでした。
印象的なのは、8話でオペラを歌ったシーン。福井さんからは『音楽のグループにいたんだから大丈夫だよね』と言われましたが、『私、ダンサーだったんですよ』って(笑)。それが撮影の1週間前で、慌てて練習をしました。台本のト書きには『佑香が歌う』としか書いてなかったので、リハーサルで急に私がオペラを歌い出して、みんなびっくりしていましたね(笑)。
10歳の頃に芸能界活動を始めてから、ずっと周りの人に支えられて来たので、20歳になって自分で責任を取れる年齢になるということがうれしくて。やっと、恩返しができるスタートラインに立てた気がしています。女優は、もっともっと追究していきたいお仕事。役を演じるのではなく、役を生きる女優さんになりたいです」
(ライター 高倉文紀)
[日経エンタテインメント! 2019年11月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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