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飲めない人も「もう一杯」 ノンアルに酔える本格バー

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バー文化が盛んな米国ニューヨークや英国ロンドンでは、通常のカクテルだけではなく「モクテル」を楽しむ人が増えている。モクテルとはノンアルコールカクテルのことで、似せる、まねをするという意味の英語「mock(モック)」と「cocktail(カクテル)」を組み合わせた造語だ。欧米ではここ数年でモクテル専門バーや、モクテルを充実させる店が増えている。

特に米国ではアルコール依存者・中毒者への世間の目が厳しく、公園など公共の場での飲酒は禁止されている。そうしたモラル的な背景に加え、近年の健康志向の高まりや、泥酔による失態などを避けるため、「Sober(しらふ)」を好む傾向が強まっているのだ。そのノンアルの波が今、日本にも徐々に押し寄せてきている。

その代表例が東京・有楽町の高級ホテル、ザ・ペニンシュラ東京の中にある「Peter(ピーター)バー」。広々としたステーキ&グリルダイニングに併設されたラグジュアリーなバー。海外からのゲストも多い同店では、2007年の開業当時からカクテルのみならずモクテルの提供にも力を入れており、現在7種の定番モクテルを提供している。

例えば、12月25日まで提供の季節限定モクテル「スター オブ ジンジャー」(1800円・税サ別)は、アニス(八角)を漬けこんだアップルジュースをベースに、レモンジュース、ショウガジュース、トニックウォーターを合わせたもの。アニスの香りやショウガのピリッとした風味が前面に立ったスパイシーな一杯だ。モクテルと言われなければ、ノンアルコールだと気づかないかもしれない。ショウガ入りなので後から体がポカポカしてくる。

同ホテルのビバレッジマネージャーの鎌田真理さんは、全国モクテルコンペティションで優勝した経験も持つモクテルのプロフェッショナルだ。体質的にアルコールが飲めない鎌田さんだが、バーの空間や酒を飲む場の雰囲気が大好きでバーテンダーになったという。欧米の有名なバーにも積極的に足を運び、さまざまなモクテルを試飲して学びながら、自身のモクテルのレシピづくりにも役立てているそうだ。

「味、香り、見た目をどれだけカクテルに近づけるかがモクテルのポイントです」と鎌田さん。飲んだときに、「これは本当にノンアルコールなのか?」と思わせられるかが大切だという。単純にフルーツジュースを合わせただけでは、カクテルのように複雑な味や香りを表現できず、「モクテルはプロのバーテンダーにとっても難しいカテゴリー」(鎌田さん)だと話す。

通年提供の「エピス ルージュ」(1600円・税サ別)は、全国モクテルコンペティションで優勝した一杯。ピンクペッパー、カルダモン、コリアンダーシードといったスパイスをカルピスに24時間漬け込み、ワイン用品種で作ったブドウジュースを合わせた。「子どもっぽい印象のカルピスを、大人っぽく表現したかった」という彼女の狙い通り、スパイスと爽やかなブドウジュースがカルピスの濃厚な甘みを和らげ、さっぱりとした口当たりだ。

同店では、日本人の常連客の中にもモクテルだけをオーダーする人が徐々に増えてきている。「モクテルによって、お酒を飲めない人の『バーに行きづらい』というイメージが払拭され、バーを楽しめるきっかけになれば」と鎌田さんは期待を寄せる。

モクテルのベースとなる原液(カクテルのお酒の部分)をアルコール度数0%で自社開発している超こだわりのノンアルコール専門店まで登場している。渋谷区神泉に2020年2月15日までの期間限定でオープンしている「the non-al stand(ザ ノンアルスタンド) のん」だ。解体予定の空きビルの1階に、複数の食やドリンクの専門店が仕切りなく並ぶ期間限定のフードコート「ツカノマノフードコート」内にある。毎週水曜から日曜まで営業中だ。

提供するのは、常時10種類ほどの月替わり自家製ノンアルコールドリンク(すべて600円税込み)のみ。フードコートなので、つまみなどは他店のものも購入できる。これらドリンクのベースとなる原液は、「抽出」「発酵」「蒸留」の3つの手法で、独自に製造開発している。

特に注目なのが、「蒸留」で開発しているノンアルコールのジン。ジュニパーベリーをはじめ30種類以上のボタニカル(植物系素材)を使用したノンアルコールジンを、店内の奥に設置された小型の蒸留器で作り出して、様々なドリンクに使用している。

味わいや香りは確かにジンなのだが、アルコール度数は0%。トニックウオーターで割れば、味も香りもまるでジントニックそのもの。筆者も試飲してみたが、アルコール特有の風味がないため、非常に飲みやすかった。後味にはジンらしくほのかな苦味まで感じられ、想像以上に大人味が楽しめた。

そのほか、香りが爽やかなかんきつ「ライムとみかん」を「抽出」の手法で作り出した原液や、麦をスコービー(紅茶キノコ)という菌膜で「発酵」させた「発酵麦」という原液もある。原液だけで7種類前後をラインアップ。発酵麦はほろ苦い風味で、炭酸水で割ると黒ビールのような味わいになるから不思議。客からは「こんなノンアルは飲んだことがない!」と驚く声が寄せられるそうだ。

同店の共同運営者の一人であるTOMO's CRAFT共同代表の前川知哉さんは、「ノンアルかアルコールかではなく、お酒を飲む人も飲まない人も一緒に楽しめるものを開発したいと思い、実験的に『のん』を始めました。ドリンクの選択肢を拡張する場をつくろうというのがコンセプトです」と話す。

同店は、TOMO's CRAFTと新宿ゴールデン街のレモンサワー専門店「the OPEN BOOK」のオーナー田中開氏が共同で運営。もともと「抽出」や「発酵」で原液を作る経験はあったが、「蒸留」で原液を作るのは今回が初トライ。一度に10リットルまで蒸留できる小型の蒸留器で、月に数回ジンの蒸留を行っているが、「日によって微妙に味わいが異なりますので、毎回試行錯誤です」(前川さん)と話す。

店のオープン後すぐにSNSで話題になった同店は、現在の客層は20~30代の若年層が中心だ。フードコートで店の垣根がないため、客同士の会話も自然と弾み、酒を飲まない・飲めない人にとっても新たな憩いの場となりそうだ。

1000種類以上という豊富なバリエーションとリーズナブルな価格で人気なのは、吉祥寺にある「Dining&Bar Luxeee (ダイニングバー ラグジー)」。黒を基調としたシックな店内で、テーブルとカウンター席合わせて全40席。週末は多くの客でにぎわう人気のバーだ。

オリジナルカクテルは一部を除いてアルコールかノンアルコールかを選ぶことができ、数種類のスタンダードカクテルも含めると、その数なんと1000種類以上。価格は680円~(税別)とかなり良心的で、いずれのカクテルもノンアルコールを選ぶと通常価格から100円引きになるといううれしいサービスも。

モクテルの中で、意外にも男性にもおすすめなのが、淡いピンク色の「スプレッドドライソーダ」(580円税別)。カンパリを思わせる苦みのあるシロップを使っており、やわらかい見た目に反してキレのある味わい。カシスリキュールの代わりにシロップを使ったモクテル「ブルゴーニュ・バニラ」(580円税別)は、芳醇(ほうじゅん)なカシスとバニラの香りがマッチした濃厚な一杯。食事の最後にデザート代わりにも楽しめる。

「お酒を飲む人も飲まない人も、同じ空間で楽しめる店をつくりたかった」と話すのは、同店代表の天野直也さん。ホテルや街中のバーでバーテンダーとして10年の経験を積む中で、アルコールが飲めない人や弱い人にもカクテルの魅力を知ってもらいたいと、オリジナルのモクテルを次々と考案していった。現在は複数のスタッフがモクテルも作れるように育ったところだという。

ドリンクメニューは1000種類以上のカクテル・モクテルのほかに、ビールやワイン、20種類以上のウイスキーなどもあるというから驚き。ピザやパスタ、グリルステーキといったフードメニューも充実しているため食事も楽しめ、デートや飲み会などの利用も多いという。もちろん酒好きなおひとり様がカウンターでしっぽりとカクテルを味わう姿も。まさにお酒を飲む人・飲まない人が心地よく共存する空間になっている。

先述したPeterバーの鎌田さんによれば、仕事でホテルに来ている客も少なくなく、仕事の合間にサクッと利用するにはノンアルコールの方が都合が良い、という事情もあるという。今後こうしたニーズが増えていけば、ビジネスマンがバーでモクテルを飲みながらビジネスミーティングという光景も増えてくるかもしれない。酒離れ傾向にある若者世代との「飲ミニケーション」の解決策にもなるかも。話題のモクテルを年末年始あたりにさっそく試してみてはいかがだろうか。

(フードライター 古滝直実)

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