軽とじ・フラット仕様 いつのまに進化、最新ホチキス納富廉邦のステーショナリー進化形/ホチキス最前線(上)

昔から変わらないように見えるホチキスも進化している。前編では片手で使えるハンディータイプ3製品を紹介する
昔から変わらないように見えるホチキスも進化している。前編では片手で使えるハンディータイプ3製品を紹介する

昔から変わらないように見えるホチキスも実は使いやすく進化していた。「消耗品から『高級実用品』へ ボールペン、進化の秘密」「小型化進む最新ハサミ 切れ味も高める、あの手この手」など、文具の進化を取り上げてきた納富廉邦氏が、ホチキスの最新トレンドを2回に分けて解説する。最初に紹介するのは、片手で使えるハンディータイプの3製品だ。

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ホチキスは19世紀初頭には普及が始まり、1920年代には、ほぼ今のスタイルが完成したといわれている。日本でも紙をとじる道具として100年以上の歴史がある。昭和27年に発売され、その基本構造はそのままに、使い勝手を向上させながら現在も販売されているマックスの「HD-10」が、今でも十分に使えるのだから、もともと完成度のとても高い道具といえるだろう。

しかし、その完成度の高さと、シンプルな構造と高い技術力に支えられた耐久性の高さのために、それこそ学生時代に買った製品をそのまま使い続けている人も多い。会社でも買い替えることなく使われていて、現在、ホチキスがどれだけ進化したのかを知らない人も多いのではないだろうか。

今回は、現在のホチキスを代表する製品をジャンルごとに紹介し、ホチキスの現在を知ってもらいたいと思う。なお、文中では呼称は「ホチキス」で統一する。「ステープラー」という呼び方もあるけれど、日本では「ホッチキス」「ホチキス」のほうが広く使われているし、現在、文具の商標としての登録はなく一般名詞的に使えるようになっている。個人的には「ホッチキス」という音が好きなのだが、新聞の表記では「ホチキス」なのだそうだ。ということで「ホチキス」で統一することをご了承いただきたい。

まずは、一般的に広く普及している、片手で使えるハンディータイプから。冒頭で挙げたロングセラーの「HD-10」をはじめ、日本のホチキス業界をけん引し、現在のホチキスの最先端機能である「軽とじ」「フラットクリンチ」を開発したリーディングメーカーであるマックスの製品を3つ紹介する。やはり、日本のメーカーでホチキスといえば、それはまずマックスであり、そのことは製品を見れば分かってもらえると思う。

サクリフラット32枚/現代の基準モデル

マックス「サクリフラット32枚」690円(価格は税別。以下同)。一般家庭用ハンディータイプのホチキスで、現在求められる全ての機能を持つという製品。今のホチキスを知りたければ、これを使ってみるとすぐに理解できる。

今のホチキスを理解するなら、この「サクリフラット32枚」を買ってきて、20枚くらい重ねた紙をとじるのが一番早いと思う。まず、片手で軽くとじられて、しかもとじた針は昔のように弧を描かず、平らに打ち付けられているので、とじた書類を重ねたときにかさばらない。この二つの機能、「軽とじ」と「フラットクリンチ」は、今のハンディータイプのホチキスの特徴になっている。

さらに、この製品は針の装填も蓋を開けて入れるだけ。しかも背面には予備の針を収納できるので、本体と合わせて200発の針を入れられる。デザインもポップで、グリップには持ちやすい工夫が凝らされ、最大コピー用紙32枚までとじることができる。

残りの針が外から確認できるなど、細かい部分で使いやすいようにデザインされていて本体価格690円という安さ。日常的に使う道具として、もうオーバースペックといってもいいくらい、扱いやすい製品になっているのだ。

背面に予備の針を収納可能(写真左)。また、開かなくても残りの針の量が分かるようになっている(写真右)。このこまやかな気遣いのある機能がうれしい
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