企業文化を進化させる法則 決め手は「少数」の行動に『最高の企業文化を育む「少数」の法則』監訳者に聞く

三井健次氏。原書のタイトル「THE CRITICAL FEW」の意味は「大切な少数のこと」(撮影:山下裕之)
三井健次氏。原書のタイトル「THE CRITICAL FEW」の意味は「大切な少数のこと」(撮影:山下裕之)

M&Aや海外進出、事業提携などにより、それまでは別々の組織で活動してきた人たちが一緒に仕事をする機会が増えてきた。そこで一番問題になりやすいのが「文化」の衝突だ。この11月に刊行された『最高の企業文化を育む「少数」の法則』(日経BP)はそこを掘り下げる。著者の一人ジョン・カッツェンバック氏は世界的に有名な組織文化の専門家で、長年のコンサルティング活動を通じて、それぞれの組織に特有の文化を特定し、進化させるメソッドを開発した。その考え方と実践的なノウハウをまとめたのが本書だ。監訳を担当したPwCストラテジー&のリーダーの三井健次氏に、企業やビジネスパーソンはどうすれば「自分の文化」を知ることができるのか、寄稿してもらった。

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組織を動かしたいなら「文化」を無視してはいけない

組織の文化を改善するためのキーワードは「少数」

近年、日本企業の経営者の中で、「文化」を重視する傾向がかつてないほど強まっているという印象を受けます。

私たちの研究・実践組織であるカッツェンバック・センターが行った「グローバル組織文化調査2018」によれば、日本企業の87%が「組織文化は経営幹部層が重要視するテーマである」と回答しました。これはグローバル企業(61%)より高い割合で、日本企業の経営者がいかに「文化」を意識しているかを表しています。実際に私(三井)が日本企業の経営者の方々とお話ししている中でも、文化に関する話題になることがよくあります。

とはいえ、従来この「企業文化」というテーマがマスメディアで取り上げられたり、経営学の教科書などで論じられたりすることは多くありませんでした。おそらく、文化という概念が曖昧で捉えどころがないので、それに対してどう影響を与えればいいのかがよくわからなかったからではないでしょうか。

そんな組織文化の問題に正面から取り組み、文化を正しく認識し、それを進化させる方法論を打ち立てようとしたのが、著者ジョン・カッツェンバックなのです。彼は本書の中で、企業文化は、経営戦略やビジネスモデルと同じくらい重要なファクターであると強調しています。

もし、あなたが組織の何らかのレベルのリーダーで、自分のビジネスを新たな方向に動かすチャンスを探しているのなら、その努力の一部を組織文化の向上に注げば、成功する確率が高い。逆に、文化を無視したり敵視したりすれば、目標は達成できないだろう。
(『最高の企業文化を育む「少数」の法則』 プロローグより)

文化は取り換えられない。「今ある文化」を改善する努力を

日本企業の間で文化に対する関心が高くなっている背景には、2つの大きな流れがあると思います。

1つは、M&Aや事業提携が盛んになり、別々の組織で働いていた人たちが一緒に仕事をする機会が増えたことです。人間は自分と同じ文化を想定して行動しようとするので、異文化に接すると戸惑いを感じます。私自身も職場環境が変わるたびに経験したことですが、同じ業界であっても、会社が違うと社員の意識や仕事のやり方が全く異なることも少なくありません。

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