タレント・ブルゾンちえみさん 父と同じ道は合わず
著名人が両親から学んだことや思い出などを語る「それでも親子」。今回はタレントのブルゾンちえみさんだ。
――タレントになる前は、大学の教育学部で学んでいました。両親の勧めなどがあったのですか。
「父が小学校の先生だったので、家でテストの採点をしたりする姿を、子どものころから見ていました。先生というものに親しみは感じていましたね。ただ、自分もなりたいとは思いませんでした。大学で教育学部に進んだのは、とっつきやすかったから。将来、どういう道を選ぶかは、大学の4年間で決めればいいと考えていました」
「でも大学に入ってみると、周りは先生になりたいという熱意のある人ばかり。目標を持って入学したわけではない私は、3年の夏ごろから授業をサボり気味になりました。ちょうどそのころ、かわいがっていたペットのハムスターを死なせてしまい、何もかもが嫌になって『大学をやめよう』と決めました」
――両親はがっかりされたのでは。
「父は『もったいない』と残念そうでしたが、許してくれました。普段は厳しい母も『いいよ』と言ってくれました。私は体重が30キロ増えるなど、精神だけでなく体にも変調を来していました。大学を続けさせるのは無理と思ったのかもしれません」
――その後、タレントを志したいきさつは。
「もともとお笑いが好きで、小学校6年生の時には友達とコンビを組んで、ネタをいっしょにつくったりしていました。いま売れっ子の芸人さんが若手だったころの劇場ライブにもよく通いました。ただ将来、自分がお笑いの舞台に立つとは夢にも思っていませんでした」
「大学をやめてからは地元の劇団で活動していました。大阪で音楽の専門学校に進んだ後、東京の芸能プロダクションのタレント養成所に入りました。歌手になるつもりでしたが、バラエティータレントになることを勧められ、ネタづくりを学びました」
――2015年にデビューしました。両親はどうご覧になっていましたか。
「娘がどうなるのか心配だったでしょうね。17年から売れてきてテレビにも出るようになったのですが、両親はうれしいというよりホッとしたと思います。今も『この間の番組見たよ』などとLINEで送ってくれます。父に楽屋へ来てもらい、好きなタレントさんと一緒に写真を撮ってあげたりもしています。心配かけた分、めったにない体験をさせてあげたいです」
――女優として舞台や映画に出演するなど、活動の幅を広げています。
「自分が何になりたいのか、ずっと考えています。何をやってもまだまだという気持ちが強くて、おばあさんになるまで考え続けているかもしれませんね。幸い両親は、やりたいことをやらせようと見守ってくれています」
[日本経済新聞夕刊2019年11月26日付]
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