買いより売りが難しい 資産運用の「出口戦略」とは?

補足すると、この例では60歳のときに運用資産が1400万円あり、95歳のときに使い切ると設定してある。これらは金融庁報告書が老後資金として必要とした「95歳まで2000万円」から逆算した数値だ。2000万円は最終的に引き出すことができるお金の総額に相当する。前半の運用効果により、運用しない場合に比べて約600万円増える計算になっている。

今の低金利時代に年率3%の運用は難しいようにも感じるが、SMBC信託銀行プレスティアの山口真弘シニアマーケットアナリストは「国内外の国債や社債などに分散投資する比較的低リスクの投信を使えば3%程度の利回りは長期で期待できる」という。ファイナンシャルプランナーの藤川太氏は「高齢になるほど、株式中心の高リスク運用は避けたい」と話す。

このように老後は運用資産を使いながら、公的年金や企業年金、退職一時金などと合わせて暮らしていく。それでも不足する場合もあるので野尻氏は「できるだけ長く働いたり、地方移住などで生活費を下げる努力をすることも重要」と助言する。

資産運用と同様、取り崩しも早めに考えるにこしたことはない。資産形成の普及を促進する日本つみたて投資協会の太田創代表理事は「今後の人生をどう生きるか、様々なライフイベントを想定して取り崩しの計画を立てたい」と指摘している。

(川上純平)

[日本経済新聞朝刊2019年11月23日付]

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