クールジャパンは時間をかけて ハーバードからの助言ハーバードビジネススクール教授 フアン・アルカーセル氏(下)

200年の歴史を持つ祭り「オクトーバーフェスト」が各地で開かれるようになったのは最近のことだ
200年の歴史を持つ祭り「オクトーバーフェスト」が各地で開かれるようになったのは最近のことだ

世界トップクラスの経営大学院、ハーバードビジネススクール。その教材には、日本企業の事例が数多く登場する。取り上げられた企業も、グローバル企業からベンチャー企業、エンターテインメントビジネスまで幅広い。日本企業のどこが注目されているのか。作家・コンサルタントの佐藤智恵氏によるハーバードビジネススクール教授陣へのインタビューをシリーズで掲載する。日本のアイドルグループ、AKB48のグローバル展開を教材にしたフアン・アルカーセル教授は、日本政府のクールジャパン戦略にも目を向ける。

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佐藤 日本政府は2012年からクールジャパン戦略を本格的に推進し、日本オリジナルの製品やサービスを海外に売り出そうとしています。日本政府が今、取り組むべきことは何でしょうか。

シャンパンのブランド化も長い時間かかった

アルカーセル 私はこれまで世界各国の海外進出プロジェクトを研究してきましたが、日本政府は重点産業の製品をとてもうまく世界に輸出してきたと思います。

ハーバードビジネススクール教授 フアン・アルカーセル氏

私がクールジャパンプロジェクトについて日本政府に助言したいことは3つあります。まず1つめは、文化に関わる製品やサービスを海外に売り出すのには時間がかかるということです。ドイツ・ミュンヘンのビール祭り「オクトーバーフェスト」はおよそ200年の歴史がある祭りですが、世界各国で開催されるようになったのは最近になってからです。シャンパンも法制化、ブランド化に時間がかかり、メーカーがその恩恵を受けられるようになるまでには、何十年も要しました。つまり、「文化を売る」というのは時間をかけて取り組むべきプロジェクトなのです。

2つめは、民間企業や起業家をさらに支援し、マーケットのニーズに基づいて注力製品を決めることです。昔とは違って、政府が一方的に注力製品や推進プロジェクトを決めてもうまくいきません。外国の人々がどういう製品やサービスを欲しているのかを分析し消費者の需要をもとに決めるべきです。また文化に関わる製品やサービスを海外へ売り出す仕事は、民間企業や起業家が主導すべきです。政府は直接関与するのではなく、それを担う人たちを支援する役割を担うべきです。

韓国は音楽やドラマなどを積極的に海外に売り出していますが、政府だけではなく民間企業も多額の海外投資を行っています。その投資は、海外の需要を調査することにも使われ、新たなKポップグループや韓国ドラマの開発に生かされているのです。