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ハーバードが学ぶ日本企業

2019/11/28

ハーバードが学ぶ日本企業

佐藤 海外の姉妹グループのライブや商品の品質はどのように管理されているのですか。

アルカーセル 基本的なところは秋元氏のチームが直接管理しつつ、海外のパートナー企業が細かい品質管理を行っていますが、問題が生じているのも事実です。そのため劇場をたくさんオープンできないのです。ウォルト・ディズニー・カンパニーがやみくもにテーマパークをつくらないのと同じだと思います。

むずかしい品質管理 進出広げるには時間が必要

映画、テレビ番組、関連商品などは、できあがった製品があるので遠隔からでも比較的品質コントロールをしやすいのですが、ライブパフォーマンスの品質管理はとても難しい。特にAKB48とその関連グループの場合は、彼女たちのトークが売り物の一つになっています。ファンが1カ月に5回もライブに行くのは、行くたびに違ったトークが聞けるからです。これをコントロールしようとすると、魅力が損なわれてしまいます。

そのためAKB48は、時間をかけて海外に進出しています。ジャカルタ、バンコク、マニラ、上海などで劇場をオープンしていますが、それぞれの国でビジネス環境を理解し、品質管理体制を確立するのに時間が必要だからです。

佐藤 中国や韓国のエンターテインメント企業がAKB48のビジネスモデルをまねすることはできると思いますか。

目に見えない資産が複雑 簡単にはまねできない

アルカーセル 表面的なノウハウをまねることはできるでしょう。しかし目に見えないところまではまねできないと思います。

私は授業でイケア(IKEA)、ウォルマート、サウスウエスト航空の事例を教えていますが、これらの企業の成功要因は分析され尽くされていて、誰もが知っています。しかし、イケアをまねして同じような家具販売チェーンをつくったからといって、成功できるでしょうか。あるいはウォルマートとそっくりなスーパーマーケットをつくってうまくいくでしょうか。そうはいかないでしょう。こうした会社の本当の成功要因は目にみえないところにあります。そこには企業文化、人脈など、目に見えない資産が複雑にからんでいて、簡単にまねなどできないのです。

同じことがAKB48のビジネスにもいえます。AKB48とその関連グループのビジネスには、パフォーマンスをする女性たちだけではなく、広告代理店、レコード会社、芸能事務所、海外のパートナー企業、海外政府など多くの利害関係者がいて、利益を分配しています。他の国の企業がそんなに簡単にコピーできるビジネスモデルではありません。

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フアン・アルカーセル Juan Alcacer
 ハーバードビジネススクール教授。専門は経営管理。主に国際競争が多国籍企業の立地戦略に与える影響を研究。MBAプログラムにて「国際競争戦略」、エグゼクティブプログラムにて「戦略:競争優位性の確立と維持」などを教える。通信企業、エンターテインメント企業、航空企業のグローバル戦略に関する教材を多数執筆。

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