まず(1)について説明しましょう。定年退職した時点で住宅ローンが残っていたり、子や孫の教育費を負担したり、もっと年をとったときに高齢者施設に入居するための資金に充てたりする場合は一時金で受け取るのが有力な選択肢になります。借入金を返済する、教育費を確保することなどによって、定年後のお金のやり繰りにメドがつくだけでなく心理的な不安感を解消することも期待できます。特に決まったニーズがなくても、病気など万が一の支出に備えておきたいなら一時金で受け取ってもいいでしょう。

ライフプランを最優先で決めよう

(2)の定年後も働くかどうかも重要です。働き方や収入の多寡によって支払う税金や社会保険料は違ってくるからです。どれぐらいが生活の足しになるのかを考えた場合、おのずと受け取り方のバリエーションはより幅広く複雑になるでしょう。

この2点のほかには独身か家族がいるか、家族がいるなら年齢構成はどうかもポイントになりそうです。また一時金で多額のお金を受け取ればつい無駄遣いする可能性はありますし、年金方式で受け取る場合は企業の経営状況の悪化で影響が出てくるリスクもあるなど、考えるべき点はたくさんあります。

多くの企業では恐らく定年を迎える1~2年前には退職給付制度や退職後の社会保険の説明会を実施しているでしょう。公的年金の金額は「ねんきん定期便」で把握することが可能ですが、会社の退職給付制度は会社から説明をしてもらわないと分かりません。それらをしっかりと確認するとともに、「自分はどんなライフプランを持っているのか」を最優先して決めるべきかと思います。

「定年楽園への扉」は隔週木曜更新です。次回は12月12日付の予定です。
大江英樹
野村証券で確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。著書に「定年3.0 50代から考えたい『その後の50年』のスマートな生き方・稼ぎ方」(日経BP)、「定年男子 定年女子 45歳から始める『金持ち老後』入門!」(同、共著)など。http://www.officelibertas.co.jp/
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