個人攻撃・書きすぎご法度 ネット会議にも作法あり『もう会議室はいらない「テキスト会議」の運用ルール』 宮野清隆氏

スマホがあれば「どこでも会議室」が実現する。画像はイメージ=PIXTA
スマホがあれば「どこでも会議室」が実現する。画像はイメージ=PIXTA

会議室を使わず、インターネットを利用して文字だけでやり取りする「テキスト会議」が関心を集めている。歴史が浅いこともあって運用ルールはまちまちだが、どこからでも参加できて議論が深まりやすいメリットがある。『「テキスト会議」の運用ルール』(あさ出版)を書いた宮野清隆氏は「今後、企業や団体の意思決定手法として広まっていく」とみる。賢いテキスト会議の進め方を教わった。

メンバーが会議室に集まるのは非効率な面も

「テキスト会議」とは、インターネットのオンライン会議室を使って文字のやりとりだけで議論を進める手法。ビジネス対話アプリやグループウエアの「スラック」「サイボウズ Office」などを導入する企業も増えてきた。いちいちメンバーを集めて会議室を押さえ、大勢が時間を割く従来型の会議に比べると効率的な面がある。

テレビ会議のような「準リアル」の会議も増えているが、全く顔を合わせない「テキスト会議」も浸透しつつあるようだ。正式に「会議」と銘打っていない場合でも、しばしばチャットや掲示板が実質的に意見調整の役割を果たす。「テキスト会議のありようは様々で、むしろ現時点ではまだ公式に会議とうたっていないケースのほうが多い」と宮野氏はみる。

「新商品開発のアイデア募集」や「社員食堂メニューの改善提案」といった具合に題目を掲げて、書き込みを募るケースは珍しくない。具体的にプレゼンテーション資料のたたき台を公開して、手直し意見を寄せてもらうような使い方も広がってきた。ただ、「本格的な定着に至っていない過渡期にあるだけに、運用ルールの参考にできる資料が見当たりにくい」というのが本書を企画した動機だ。

運用ルールのひな型としてそのまま使える構成に仕上がっている。導入の手順から始まり、議論の進め方や採決の導き方などが各章に整理されている。それぞれの企業や職場に合わせて多少のカスタマイズを加えれば、実用的な運用ルールが出来上がりそうだ。著者が所属していた任意の集まりでテキスト会議を採用したところ「もめ事がしばしば起こり、運営に苦労した」という。実体験に基づいて注意点を網羅しているので、現実に起こりそうなトラブルを防ぎやすい。

過剰なまでの文字数はNG

リアル会議では自分の主張を押し通したがる、いわゆる「声の大きい人」が議事を支配する格好になりがちだ。うまく会議を牛耳って、持論を会議結果に反映させる人が評価される流れにもなりやすい。テキスト会議は声のボリュームや見た目の押し出しが反映されにくいので、その点では冷静な議事を進めやすい。ただし「テキスト会議でも自分の主張を押し通したがる人は珍しくない。一定のよりどころがないとむちゃを止められない」と宮野氏はクギを刺す。

テキスト会議の場合は、書き込む文章の文字数が参加者への「圧力」になり得る。過剰なまでの文字数でディスプレーの画面を埋め尽くすような書きぶりは、ほかの参加者を脇へ押しのけかねない。書き込みの頻度が高すぎると時に健全な議事進行を妨げる。「パソコンの前に張り付いて、やたらと頻繁にしかも長文の意見を書き込む人もいる」(宮野氏)。意見の表明そのものは本来、悪いことではないが、度を越すと「嫌気がさして、参加を見合わせてしまう人が出る点で好ましくない」(宮野氏)

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