近年、一度会社を退職した元社員を再雇用する動きが広まっています。従来の日本企業では、あまりなじみのないものでしたが、会社側・働く側双方においてかなり意識も変化。ジョブリターン(再雇用)制度を導入する企業が増えている背景には、何があるのでしょうか。人事労務コンサルタントで社会保険労務士の佐佐木由美子氏が解説します。
ジョブリターンが注目される3つの理由
かつて終身雇用が当たり前の時代では、転職そのものがタブーとされていた風潮がありました。しかし、1社に一生勤め上げることが、今や現実的とは言えなくなり、雇用の流動化も進む昨今では、キャリアアップのための転職は決して珍しくありません。
とはいえ、なぜ元いた社員が再雇用されることが、これほどまで一般化してきたのでしょうか。退職者の再雇用制度については、カムバック採用制度、キャリア・リターン制度、アラムナイ制度(アラムナイは卒業生・同窓生の意味で、転じて離職者やOB・OGを指す)など、会社によって言い方も様々であり、その制度内容も違います。本記事ではジョブリターン制度といいます。
一度会社を辞めた元社員が古巣の会社に戻るということは、会社側においても元社員においても、心理的な抵抗感があって、なかなか受け入れ難い雰囲気が以前にはありました。
その流れが変わってきた背景には、3つの理由が考えられます。