女性の役員登用、遅れる日本企業 海外に学びのヒント

2019/11/26

30%Club代表・アン・ケアンズさん 英国は30%を達成

――30%クラブとは何か。

「女性役員比率を高めるために2010年に英国で生まれた。大手企業の最高経営責任者(CEO)らが個人として加盟する。メンバー7人で発足し、今は300人を超えた。活動は米国やブラジルなど世界14カ国・地域に広がった。日本では今年5月に資生堂の魚谷雅彦社長を代表に活動を始めた」

マスターカード副会長。シティグループなど金融機関で活躍し、マスターカードに2011年8月入社。フォーチュン500企業のインターコンチネンタル取引所の取締役の兼務も。19年、30%クラブ会長に就任。

「団体名のとおり、女性役員比率を30%に高めるのが目的だ。30%とは少数派グループが一定の力を得る最低水準を指す。日本ではTOPIX100対象企業の女性役員比率を30年までに30%に伸ばす目標を掲げる」

――日本は女性役員比率が低い。目標達成できるのか。

「英国が達成したのだから、日本も不可能ではない。英国の主要企業(FTSE350社)の女性役員比率は発足時は約10%。今は30.1%に増えた。日本の女性役員比率は現在10.5%で、17年以降急速に伸びている。女性活躍の重要性が経営者に企業に浸透してきた証しで、さらに加速すると期待できる」

――女性役員比率を高めるのに英国で有効だった施策は。

「経営層の男性が幹部候補の女性に仕事上で助言する『メンター制度』だ。英国では118社が参加して始めた。工夫したのは異なる勤務先の男性と女性を組み合わせたこと。上下関係がないので女性はオープンに仕事の悩みを相談できる」

「女性は適切な助言を得て成長が促され、役員にふさわしい能力を手に入れた。男性は他社の優秀な女性を知ることで自社の課題に気付き、女性登用を進める仕組みを整えたり、女性部下を積極的に応援したりするようになった。日本でも同様の仕組みを検討していきたい」

――日本で女性役員を増やすには何が大切か。

「まずは女性が自信を持つこと。日本女性は教育レベルも高く、優秀な人材が多い。活躍を阻む壁を打ち破る強い気持ちを持ってほしい。男性は父として夫として、娘や妻が仕事で活躍できるように家庭でサポートすることも重要だ」

スーパーウーマンの次は? ~取材を終えて~

乱暴な言い方だが、女性役員比率10%の実現はさほど難易度は高くない。とにかく女性を1人抜てきすれば達成できる水準だからだ。問題はここからだ。取締役に2~3人と複数入れないと30%には届かない。長らく企業は女性を幹部候補生の対象外としてきた。そんな逆境にめげず競争を勝ち抜いたスーパーウーマンは多くない。社内から1人抜てきできても、次に続く候補者選びは難航必至だ。

ある女性役員に話を聞いたとき「男性並みに働いても無視される。2倍働くと『生意気だ』と批判された。3倍働いて初めて対等に評価された」と漏らしていた。スーパーウーマンでなくても、成果と能力で男性と同等に評価する環境がない限り、30%の壁は厚い。

(編集委員 石塚由紀夫)

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