薬物依存、後悔の涙が伝えるもの 元乱用者に聞いた立川談笑

画像はイメージ=PIXTA
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このごろまた違法ドラッグの逮捕者が相次いでいます。私はかつて専門家の指導の下に、薬物乱用に関する取材をしたことがあります。そこで見聞きしたものを中心に今回はお話しします。

逮捕された経験もあるという元薬物乱用者にじっくりと話を聞くことができました。白い作業着姿で現れた彼は、建築会社の社長さん。頭は丸刈りで、精悍(せいかん)な顔つきです。年は30代半ばといったところ。中背で、引き締まった筋肉質な体は健康そのものにしか見えません。

「私がやっていたのは、覚せい剤です」。落ち着いた、紳士的な口調で彼は語り始めました。賢さと、誠実な人柄がにじみます。「自分みたいなことになる人間が少しでもいなくなるように、こうして経験を話すんです」。良い人柄のようです。でも、彼と同じように啓発活動をする元乱用者が、また薬物に手を出して逮捕されてしまう例は、残念ながら珍しくありません。もちろん、この場で「またやりますか?」なんて、面と向かって言いづらいけど。

軽い気持ちで使う最初の1回だけで

「割合でいうと、10人中8人か9人は軽く遊びでクスリをやっても、その時だけ楽しんで、あと普段は平気でいられるんです。だから他人にも勧めちゃうんですよ。『ほら、俺なんかぜんぜん大丈夫だろう』って。ただ残りの、10人中1人か2人が問題です。その最初の一発で完全にハマってしまうんです。だんだん少しずつ深みにはまるんじゃなくて、軽い気持ちの最初の一発だけでガッチリはまります」

体質によるものなのか、とにかく個人差があるらしい。家庭も仕事も、人生のすべてがたった一発で台無しになってしまう。二度と後戻りできない地獄の始まりです。なんとも恐ろしい。

「まあ、自分なんかはその一人の方なんですけどね」。うわ、そっち側かい! 地獄側でしたか。はい、心してお話をうかがいましょう。

「『意志が弱いからまた手を出すんだろう』って、よく世間は思いますよね。ところが、ダイエット中だから甘い物を我慢しようとかっていうのとは、まるでレベルが違うんです。砂漠の真ん中で、水がもう一滴もなくて喉の奥までカラカラに乾いて『ああ、このままじゃ死ぬ。水をくれ。とにかく水をくれ!』っていうの、ありますよね。あれくらいです。意志とか気分じゃなくて、どうしようもなく体が求めるんです。生存本能くらいの強さで。だから、意志どうこうではどうにもならないんです」

自分の意志ではどうにもならないとなると、つまり薬物依存にはまずは専門的な治療が必要になるということですね。まずは治療。治療ですよ。

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