会社員の年末調整 天引きした税金の納め過ぎを還付所得税入門(2)

「これが配られると年末だと実感するよ」。会社から帰宅した良男がカバンから書類を出しました。「年末調整ね。私の会社は今週末が提出期限」と恵が応じます。「ところで何のための書類なの?」。2人が首をひねっているところに幸子が入ってきました。

筧(かけい)家の家族構成
筧幸子(48)良男の妻。ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。
筧良男(52)機械メーカー勤務。家計や資産運用は基本的に妻任せ。
筧恵(25)娘。旅行会社に勤める社会人3年目。
筧満(15)息子。投資を勉強しながらジュニアNISAで運用中。

 お母さん、また教えてほしいことがあるの。

幸子 それは年末調整の書類ね。今年ももうそんな季節か。

良男 毎年提出してるけど、年末調整ってそもそも何を「調整」するの?

幸子 それを説明するには、まず「源泉徴収」を知らないと。青山学院大学法学部教授の木山泰嗣弁護士は源泉徴収について「給料などを支払う会社が、それを支払う際に所定の所得税を徴収すること」と説明しているの。よく「天引きされる」というでしょ。天引きされた所得税が「源泉所得税」なの。

 私たちに代わって会社が所得税を集めて納税するわけね。じゃあ、それ以上何かする必要があるのかしら。

幸子 実はこの天引きされた額は、本来支払う必要がある税額とは限らないの。源泉所得税はいわば仮の税額なのよ。

 そうなの?

幸子 年間の稼ぎ(所得)にかかる所得税は、個人が年間の合計所得金額と税額を計算して税務署に申告・納付するのが原則よ。ただ個人が一定時期に申告・納付するとなると……。

良男 国の税収がその一定時期だけに集中しちゃうな。

 税務署だって申告・納付の手続きが集中して大混乱よ。

幸子 だから源泉徴収という仕組みが必要になるの。