膝の痛みは関節変形のサイン 4つの兆候あれば受診40代以降の膝の痛み(上)

日経ヘルス

2019/12/2
(イラスト:進藤やす子)
(イラスト:進藤やす子)
日経ヘルス

階段の上り下りで膝に響いて「痛っ」となったら黄信号。40代以降の膝の痛みは、そのほとんどが加齢などによる関節変形のサインです。進行すると歩行がつらくなり、人生の楽しみが奪われることになりかねません。

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膝関節には立ち座りや歩行などの動作のたびに体重の何倍もの負荷がかかる。変形性膝関節症はその負荷により関節内の組織が損傷、変形する病気で、進行に伴い痛みが強まり、歩行など移動機能に障害をきたす。

(図:三弓素青、Arthritis Res Ther.;19,201,2017を参考に作成)

進行メカニズムはまだ解明途中だが、軟骨のすり減りが先で、その後骨に変形や痛みが生じるという従来の説に対し、「近年は、骨の変形とともに半月板の位置がずれることで軟骨がすり減るということが明らかになりつつある」と、順天堂大学整形外科の石島旨章准教授は説明する。

「50歳前後で受診する人が増えるが、実際にはそれ以前からひざに痛みや違和感を自覚している人が多い」(石島准教授)。

肥満やO脚が、ひざ関節変形のリスクとしては有名だが、有病率は60代女性の半数以上、80代女性では8割と、これらのリスクがなくても発病することは多い。「関節の機能は加齢とともに低下するので、誰にでも可能性はある」と、石島准教授は注意を促す。

(グラフ:増田真一、データ:J Bone Miner Metab.;27,620-628,2009)

ひざの痛みは歩くのをおっくうにし、症状悪化とともに痛くない程度にしか動かなくなる。運動量が減ると、足腰の筋力が低下しやすく、将来の要介護リスク、その先には認知症の心配も。高血圧や糖尿病など、ほかの慢性疾患のリスク上昇も示唆されている。

そうならないためには早期発見、早期ケアが重要だ。「女性は特にがまんしてしまう傾向が強いが、年のせいと諦めたりせず、移動機能に支障を感じたら受診も含め対策を講じることが大切」と石島准教授は話す。

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膝の痛み、受診の目安は?

□1時間歩くと痛みが出る
□朝や、歩き始めが痛い
□階段を下りると痛い
□市販の痛み止めが効かない

痛みがあり、困っているかどうかで判断をしよう。女性は重症になるまでがまんする傾向が強いが、つらければ早く受診する方がよい。上に挙げる項目に1つも当てはまらない人は次回紹介するセルフケアを参考にしてほしい。一方、当てはまる人は医療機関で相談してみよう。

石島旨章さん
順天堂大学大学院医学研究科(東京都文京区)整形外科・運動器医学准教授。日本整形外科学会専門医。順天堂大学大学院医学研究科修了後、米国国立衛生研究所(NIH)Visiting fellowなどを経て2013年より現職。診療や手術のみでなく運動の習慣化で運動器疾患などの予防を図るスポートロジーにも力を入れている。

(ライター 福田[渡邉]真由美、構成 堀田恵美)

[日経ヘルス2019年10月号の記事を再構成]