黒スーツ着ない自分色就活 企業も見たい本当のあなた

2019/11/24

実は横田さんは就活が本格化する前に、黒いスーツ、黒いかばん、黒いヒール、白いシャツの就活生向けセットを一応購入した。「結局、1回しか着ませんでしたけど」と笑う。ゼミなど、大学では自分のまわりにいる友人はほぼ全て黒ずくめだったが、一人だけカジュアルな格好。「心配されることもあったけれど、私は気にはならなかったです」

大学生のインスタグラムにあふれる 黒染めの儀式

就活向けといわれる黒い角張ったカバンは、「ものすごく重いんですよ」(横田さん)。説明会の紙の資料、パソコン、スマホ、大学の授業で使う本やノートも入っている。それを肩にかけ、履きなれないヒールで数社の説明会や面接を一日中、渡り歩く。髪形も額を出して後ろで束ねることが何となく推奨される。

学生有利の売り手市場といわれるのに、電車の中や企業のロビーで、黒ずくめの就活生が悲壮感にあふれているのはなぜなのだろう。

就活が本格化する時期が近づくと、大学生のインスタグラムはにわかに忙しくなる。

「髪を黒く染める同級生が次々とスマホに現れてびっくりしました」

春に社会人になった沼倉花菜さん(撮影=東京・世田谷)

春に社会人になった沼倉花菜さんがインスタの「異変」を感じたのは、大学3年の夏休み前だった。女子大の同級生が、就活のために茶色い髪を真っ黒に染める「黒染め」の様子を次々とインスタにアップし始めたのだ。「黒いスーツに黒い髪で臨まなきゃいけない就活なんて、疑問しか湧かなかったです。かわいくない」(沼倉さん)

スーツを着ても、黒ではなく紺色。髪は軽いブラウンのまま。あえてふだんの自分の姿で就職面接にいった。「勝負服は、顔色が明るく見えるピンク色のスカートでした。服装は私を知ってもらう大切な要素です」と話す沼倉さんは、IT(情報技術)企業への内定をもらい4月から勤務している。

服装リテラシーを学ぶ機会がない

なぜ自分を型にはめてしまうのか。「学校教育の影響だと思います」と説明するのは、明治学院大学3年の石黒シエルさん。

大学3年の夏休み前、学校で開かれた就活のイベントでのこと。「夏休みのインターンは、たとえ『私服で』と書いてあっても就活スーツで行きなさい」と指導された。また、別のメーキャップ講座では「大手企業の面接で会うのは50歳代の男性が多いから、おじさん好みにしたほうがいい」と言われたこともあった。

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