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ベースの酒は10種類(写真提供:Shoki Eno)

さっそく茶割の基本の1杯という「玄米茶×焼酎」を飲んでみた。ペットボトルの茶で作ったものとは全然違う。甘みと華やかな香りが複雑に混ざり合い、グラスを満たす爽やかな緑色もきれいだ。「玄米茶などの緑茶はいれてから時間がたつと変色してしまうので、ペットボトルの緑茶は茶色く見えます。でもいれたてのお茶の色はとてもきれいだし、香りも違う。その色も楽しんでもらいたい」

多治見さんが次に薦めてくれたのは、常連客から「茎ジン」と呼ばれる「茎茶×ジン」の組み合わせ。学芸大学の店を出したときからの大人気の組み合わせだ。茎茶とは煎茶の一種で、出物と呼ばれるお茶の茎の部分を使う。アミノ酸が豊富で、玉露のようにうま味の強いお茶であり、植物から作られるジン独特の風味と相性がよく、すっきりした飲み口が特に男性に人気だ。「茎ジンしか飲まない」という熱狂的なファンもいるほどだという。

「反対に女性を中心に人気が高いのが『トルコ紅茶×ブランデー』です。トルコ紅茶とは甘くして飲む紅茶。甘い紅茶にブランデーの香りをつけるので大人っぽい組み合わせになります」と多治見さんは説明する。飲んでみると、ほんのりと甘く、そして香り高い。こんなお茶割り、今まで飲んだことがない。お茶割りが生み出す味の広がりにあらためて驚かされる。

「『ほうじ茶×ウイスキー』はハイボールが好きな方にまずお薦めしたい1杯です。ほうじ茶もウイスキーもどちらもスモーキーな香りを楽しむものなので、互いの香りを高め合う組み合わせです」。ほかにも、「さんぴん茶×ラム酒」「抹茶×カシス」「緑のアールグレイ×アマレット」など、すっきり味からカクテルのような甘い味までさまざまな組み合わせを自由に楽しめる。

「抹茶×ブランデー」(650円・税別)(写真提供:Shoki Eno)

ところで、多治見さんはなぜ、お茶割りアルコールに特化した店を出したのか。聞けば、着想の原点は自身の幼少期にあるという。多治見さんは90年生まれの東京育ち。家庭で日常的に茶葉からいれたお茶を飲む人がだんだんと少なくなっている世代ではあるが、多治見さんの家は違った。両親は大のお茶好きだったため、家では朝食や夕食の前後にはいつも当たり前のように急須でお茶をいれて飲んでいた。お茶好きな家庭で育ったこともあり、自身も小さい頃からお茶が大好きだった。

「特に近所にあったお茶の販売店に連れて行ってもらうのが好きでしたね。いい香りがするじゃないですか。それに、店内にある焙煎(ばいせん)の機械や、茶葉の入った茶箱を眺めるだけでわくわくしました。家ではいつも、その店に注文して作ってもらった抹茶入り玄米茶を愛飲していました。自分が大のお茶好きだったので、きちんといれたおいしいお茶でお茶割りを飲んでもらう店を作りたかったのです」(多治見さん)

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