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プロボノで自分の価値を再確認 キャリア迷路抜け出せ

仕事と遊びの境界線をなくす「公私混同力」のススメ(3)

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NIKKEI STYLE

「キャリア迷路」から抜け出すためのコミュニティーを主宰する池田千恵氏は、副業NGの会社でも仕事で培ったスキルを無償で提供する「プロボノ」という働き方で自分の市場価値を知ることができ、本業にもシナジー効果が生まれた例もあるといいます。今回は実際に副業NGの会社で働きながらプロボノ活動をしている方のインタビューをお届けします。

自分の専門領域を生かす「プロボノ」とは

前回は、「自分テストマーケティング」という手法を紹介しました。会社にいながらでも社内や社外で小さなチャレンジを繰り返すことにより、ホワイトカラーの仕事に従事しているとなかなか気付かない「労働の対価がいくらか、会社にどのくらいの価値を提供できているか」というコスト感覚や、「世の中に求められているのは自分のどの能力か」というマーケティング感覚が磨かれます。

とはいえ、副業OKの企業はまだ少数派ですし、社内で新しいことをしたいと思ってもなかなかチャンスはないという人も多いことでしょう。副業OKだとしても、本業との兼ね合いや時間のバランスを考えると二の足を踏んでしまいますよね。

そんなときは実際に行動している人に聞け!ということで、今回は「プロボノ」という形態で活動する宮下菜穂子さんにインタビューしました。宮下さんはベンチャーのPR会社でチームリーダーをつとめながらソーシャルアクションを行う「共働き未来大学」でプロボノとして活動しています。他にも地域活動として在住の区の子育て支援イベントの広報などのボランティアにも参加しています。

プロボノとは、自分の専門領域・得意分野を生かして行う社会貢献活動のことで、近年注目されている働き方です。無償で労働力を提供するという意味ではボランティアと一緒ですが、プロボノは一般的に専門領域・得意分野を提供することを言うことが多いです。

今回は宮下さんに「どうやって始めたか」「会社にどう説明したか」「本業との相乗効果をどんなときに感じるか」といった、何かを始めようと思うときにぶつかる悩みについて聞いてきました。

本業で結果を出したいからプロボノ活動に挑戦

――プロボノ活動をするきっかけは何でしたか?

育休から復職して、成長の踊り場にいるような危機感を感じ、本業をもっと楽しみたい、結果を出したいと思ったのがきっかけです。新卒で現在勤めるベンチャーのPR会社に入社し、PR戦略の立案、企画、施策のディレクション・実行を一貫して担当してきました。2016年春に産休育休を取得し、2017年5月に復職しました。現場では初めての産休育休だったので手探りでしたが、ワーキングママ(ワーママ)としてなんとか仕事をこなせるようになったことを実感することができました。しかし、そのままではそれ以上の成長は望めないのではとも感じ始めたのです。

入社してからずっとPR業務を続けてきて、妊娠前は深夜まで残業をしたり、仕事にのめり込んで過ごしてきました。復職後も手探りながらチームマネジメントと部下の育成をしてきたのですが、もちろん妊娠前と同じというわけにはいきませんでした。とはいえ途中で投げ出すのはちょっと違うと感じていました。1社しか経験していないという自分のキャリアに不安がないわけではなく、「このままでいいのかな……」とモヤモヤしていました。育休中に大ヒットした『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社)を読み、これからの時代は変化に対応する姿勢を持ち続ける必要があるなと思ったことも一因です。人生100年という長い目でキャリアを考え、ライフイベントを含めたさまざまな経験をする中で複合的なスキルを身に付けられたらいいな、と思うようになりました。そんな矢先にたまたま「共働き未来大学」のプロボノ募集を知り、会社に話をした上で応募しました。

本業との両立や時間のやりくりはどうする?

――会社にはどのように説明しましたか?

会社は副業禁止なので、プロボノに参加したいと思った際、あくまでも「ボランティア」であるという話とともに、社長と管理部長に対して相談した上で応募をしました。

――本業との時間的両立や家族に協力してもらうためにはどのように工夫していますか?

プロボノもボランティアも、基本はオンラインでのやりとりなので、移動時間や休憩時といったスキマ時間にビジネスアプリの「スラック」や「Facebookメッセンジャー」でのやりとりをしています。休日のイベントやミーティングについては、家族の協力があって活動できています。

プロボノは月に1回、週末に子どもを寝かしつけた後に「Zoom(ズーム)」というビデオ会議システムを使いオンラインミーティングをしています。地域のボランティア活動は、月に1回、週末の午前などに2時間の対面での定例会議があります。こちらは子どもを連れて参加できるので、息子も一緒に出掛けて他のお子さんと一緒に遊んだりして過ごしています。

夫や息子との時間を維持しながら、作業時間を捻出するのはそれなりに調整が必要なので今も良いやり方を模索中です。プロボノもボランティアも子育て中のママパパが多いので、子どもが寝た後の時間に打ち合わせをしたり、朝の時間を活用したりして時間のやりくりをしています。

会社からの「本業に支障がでる」という意見にどう対応するか?

――プロボノやボランティアで時間と体力が奪われてしまい、疲弊してしまうのではないか? と悩む人がいると思いますが、何か工夫していることはありますか?

最初にプロボノやボランティアに、何を目的にどこまで関わるかの線引きは必要だと思います。「何でもできます!」といった感じで参加してしまうとあとでつらくなるので、自分は何を目標として、どう折り合いをつけるかはあらかじめ決めたほうが良いと思います。

「共働き未来大学」では、参画する際「Can・Will・Must」というフレームワークを使って自分が「できること・やりたいこと・やるべきこと」を明確化しています。他のメンバーと共有し合うことで気づきもあり、達成度などを把握するのにも大変役立っています。

――会社に説明するときに一番難しいのは「本業がおろそかにならないか」ということだと思いますが、どのような工夫をしていますか?

確かに人によっては、会社以外の活動をすることを「浮気」のように感じてしまう場合もありますので、社内では状況に応じてプロボノやボランティアでやっていることが本業につながっているということを意識して伝えるようにしています。

例えば、プロボノやボランティアでのつながりでできた自治体のご縁で、本業で自治体を絡めた提案をしました。地域活動のボランティアで行政・団体と一緒に活動する経験を通じて、正面からではなかなかつながりにくいところにもアプローチをすることができました。ボランティア活動で知り合って築いた関係だからこそ話を聞いてもらいやすい面もあるので、打ち合わせを自分で設定して、会社の人も同席してもらうことで本業へのメリットを少しでも一緒に体感してもらえるよう工夫しています。

また、プロボノを通じて知った厚生労働省の「えるぼし認定」(女性活躍を推進する企業のための認定制度)を社内のマネジメント層に情報共有し、会社が「えるぼし認定」を取得できるよう、これから準備を進める予定です。プロボノに参加した動機が、働き方の模索でもあり、女性も多い職場なので、外での活動が会社にとってもプラスになるという面は常に意識しています。

実際プロボノ活動をしてみて「本業にかかわることを外からもってくることができる」のが会社に対する自分の+αの付加価値だと気付きました。

会社とは別のコミュニティーで視野広がる

――プロボノ活動をしているから会社員の活動にメリットがあったと思えることは他にどんなことがありますか?

複数の場に身を置き、引き出しが増えることは非常にプラスに感じます。職場ではリーダーをしていますがプロボノではサブの役割をすることで、リーダーの視線だけでは見えない仕事への気付きがあります。会社だと自分がチームの年長者になることが多く、そもそもベンチャー1社の経験しかないので井の中の蛙(かわず)になってしまってもおかしくない環境です。会社とは別のコミュニティーに身を置くことで、さまざまな業界や働き方をしている人と出会えたり、キャリア面での先輩メンバーと、さまざまな視点で話ができるのも楽しいです。

本業の実務でもSNS(交流サイト)の運用について次のようなメリットがありました。PRの仕事ではクライアントのSNS運用について「こうしたほうがいいですよ」というアドバイスをすることはありますが、どうしても入社以来「代理業側」の立場の経験しか積んできていないので、プロジェクトを運営するクライアント側の目線で、SNSをどうやって組み合わせればよいかを提案したり、相談に乗ったりできるようになりたいという気持ちがありました。

そこで、プロボノで手を動かして投稿体制を整備したり、投稿内容も模索しながら実践したりしています。6月に行ったプロボノの半期の活動振り返りの際は、自主的にSNS投稿の傾向から見えることを全体にリポートしました。

このことにより、本業のクライアントから「PR活動で露出に成功した案件をさらにSNSで展開していくにはどうしたらいいか?」と相談された際に、自信をもって「Facebookでは○○、Twitterでは○○。だからこうするといいと思います!」と回答することができたのです。これは日ごろ、プロボノで実際の運用を行っていたからだと思います。以前であれば外部のパートナー企業に相談したりするところを、自分で対応できるようになりつつあるのもやりがいを感じます。

――最後に、この働き方をどんな人におすすめしたいですか?

仕事以外の「コミュニティー」を持ちたい人や新卒から1社で働き続けているなど、自分のスキルなどに応用力があるかどうか不安な人におすすめしたいです。自分の市場価値は社内にいるとなかなか実感できませんが、プロボノ活動をすることで転職しなくても社内で積み上げてきた経験やスキルを会社以外の場所でも生かせるようになります。

◇  ◇  ◇

宮下さんはインタビューの中で「本業にかかわることを外からもってくることができるのが会社に対する自分の+αの付加価値だと気付いた」とおっしゃっていました。自分が長年培った経験を今いる会社だけでなく他にも生かすことで、より今の会社が楽しくなり、やりがいが生まれるのだと感じました。自分に何ができるか不安になったら、まずは興味があるプロボノに飛び込んでみるのもひとつの手ではないでしょうか。

池田千恵
朝6時 代表取締役。朝イチ業務改善コンサルタント。慶応義塾大学卒業。外食企業、外資系企業を経て現職。企業の朝イチ仕事改善、生産性向上の仕組みを構築しているほか、個人に向けては朝活でキャリア迷子から抜け出すためのコミュニティー「朝キャリ」(https://ikedachie.com/course/salon/)を主宰。10年連続プロデュースの「朝活手帳」など著書多数。

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