先祖代々の土地、権利証なくした 売却はできる?弁護士 志賀剛一

権利証は2006年からは「登記識別情報」に切り替わっている=PIXTA
権利証は2006年からは「登記識別情報」に切り替わっている=PIXTA
Case:68 諸事情により、先祖代々の不動産を売却処分することになったのですが、金庫に入れてあったはずの不動産の権利証がなくなっており、困っています。権利証がない場合、土地の処分はできないのでしょうか。

権利証がなくても不動産の処分はできる

結論から申し上げますと、権利証がなくても不動産の処分(所有権移転登記)は可能です。

前回のCase:67に続き映画やドラマの話からのスタートとなって恐縮ですが、日本の古い映画やドラマでは、あくどい債権者が家に押し入ってきて、主人が「それだけは勘弁してください!」と抵抗しているにもかかわらず、むりやり不動産の権利証(「権利書」と呼ばれることも多い)を取り上げられ、それだけで所有権も債権者に移転してしまうようなシーンをしばしば見かけたものです。

しかし、これは誤りで、後述するように権利証の交付だけで所有権が移転するわけではありません。

権利証とは、より正確にいうと「所有権の権利に関する登記済証」のことです。改正前の不動産登記法では、登記をした際、登記によって権利を取得する人に「登記済証」という書類が発行されていました。この登記済証が、通称「権利証」(または権利書)と呼ばれています(2006年からはこれが「登記識別情報」に切り替わっています)。

ほかの方法で証明、所有権移転はできる

所有している不動産でふだん生活している分には権利証などなくても何も困りませんが、不動産を売って移転登記をしたり、抵当権などの担保を設定したりする場合、その人が本当に所有権者かどうかを確認するために権利証が必要となります。