「マックと恋に落ちた」直談判で入社、世界駆け巡る日本マクドナルドHD社長兼CEO サラ・エル・カサノバさん(下)

スーツ:スキャバル生地。シャドーストライプの織り柄で豊かな光沢を放つ(スキャバルジャパン) 時計:グランドセイコー エレガンスコレクション「STGF345」(税別75万円) 撮影:筒井義昭
スーツ:スキャバル生地。シャドーストライプの織り柄で豊かな光沢を放つ(スキャバルジャパン) 時計:グランドセイコー エレガンスコレクション「STGF345」(税別75万円) 撮影:筒井義昭

子供のころからマクドナルドが好きで「ビッグマック、マックフライポテトと恋に落ちた」というカサノバさん。学生時代の論文のテーマはマクドナルドのロシア進出について。地元カナダのマクドナルドのトップへのインタビューも試みた。そして「マクドナルドでしか働きたくない」と採用願を送った。




モスクワ皮切りに世界各地に赴任

だが、不採用。納得できずに論文でインタビューしたカナダの社長に「どうしても仕事がしたい」と手紙で直訴し熱意で採用を勝ち取った。トロントの野球場の店舗で働きはじめて間もなく、ロシアでマーケティングをやらないかと打診を受けた。

最初のチャレンジがこのモスクワ赴任だった。「どういう場所か情報もなくて、寒いし、暗い。だれも英語をしゃべらない。家族も友達もカナダに残して初めての海外で、とにかく大変でした」。それが旅の始まりだった。28年間のマクドナルドでのキャリアではカナダ、ロシア、トルコ、ウクライナ、マレーシア、シンガポールで仕事を経験した。日本は2度目。2004年にチーフマーケティングオフィサーとして5年赴任し、13年に日本マクドナルドの社長兼最高経営責任者(CEO)に就任した。

原材料の使用期限切れや異物混入問題で揺れた14年と15年は大きな試練だった。「お客さまの期待に応えるために私たちは変わらなければいけなかった」。47都道府県の店舗を回ってお客が何を求めているかに耳を傾けた。「母親たちからは同じことを言われました。『楽しく、おいしく、お得で、きれいな店で、スマイルがすてきなマクドナルドに戻ってほしい』と」

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