高専生が選ぶ就職先 首位サントリーはフォロー充実高専に任せろ!

インターンも9日間と長い。工場見学だけでなく、ミニチュアエレベーターの機構や回路を作ってもらい仕事に直結する経験を積んでもらう。そして学校訪問でインターンに来た学生と会うときには必ず「友達も連れてきて」とお願いする。高専生との接点を極力、多くする地道な取り組みだ。

同社の約1万人の社員のうち高専出身者は1354人。大手企業では高い割合を占めており、係長から役員までの役職には637人が名を連ねる。人事の処遇は大卒、大学院出身と同じだ。

バブル期の建設ラッシュだったビルの設備の更新期を迎え、即戦力の高専出身者への期待は高い。ここ10年で400人強もの高専卒が入社した同社にはこれから高専生を採用しようとする会社から相談を受けることがある。その際にはこう答えるという。「まずは1人の実績を作りましょう」(総務人事部参事・高橋真実氏)。

20歳前後の人材を社会に送り出す学校側としては、教え子の動静が気になる。ここが一人前の大人として扱われる大学卒や大学院卒とは大きく違うところだ。

高専側は学生を送り出した企業を注視する。「高専出身者をちゃんと成長させてくれるかどうか」。伸びしろのある高専生ならではの期待だ。成長していることがわかれば、そこから2人、3人とつながる。

今回のランキングで7位(49人)だったデジタルマーケティング支援のメンバーズは13年に高専生を初めて1人採用。その社員が1年もせずに素晴らしい課題解決力を発揮。高専生の魅力に気が付いた同社は、直ちに高専生の本格採用に踏み切った。

引く手あまたの高専生。産業構造の変化を受けてメンバーズのようなデジタル系企業が積極採用に乗り出している。その一方で製造現場の国内回帰も就職戦線に影響している。象徴的なのがインバウンド消費を追い風に国内3工場から6工場体制に移行する資生堂の動きだ。

資生堂は高専生向け企業説明会に精力的に参加している

資生堂は11人を採用(88位)。今後は九州初となる九州福岡工場(福岡県久留米市)が注目される。近くには久留米高専(同市)や北九州高専(北九州市)がある。

工場の稼働は21年の予定だが、今年は周辺の高専に例年より半年ほど前倒して学校訪問を実施、採用方針を丁寧に説明した。「化粧品会社だけに化学系で女性の応募者が多いが、機械や電気制御を学んだ人材にも来て欲しい」(人事部の杉山拓也氏)という。

企業から見ると高専生のライフスタイルも強みに映る。高専は寮生活をする学生が多く、規律を守る習慣がついている。1学科が40人程度と小規模で、かつ5年間も同じ仲間と勉学に励むため、円滑な人間関係を作るのも得意だ。学問だけでなく、そんな素養を持つ高専出身者は、大学卒・大学院卒と高卒の中間にあって組織の中で潤滑油のような役割も期待される。技術と人間力を併せ持つ高専生が引っ張りだこなのは納得がいく。

(編集委員 田中陽)

[日経産業新聞 2019年11月15日付]

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