自宅で使う脱プラ・ストロー3選 モノとしても魅力的
世界中で大きな動きを見せている、プラスチックごみの削減。その一つのきっかけとなったのがストローだった。2015年、米国の調査チームが南米コスタリカ沖で鼻にストローが刺さったウミガメを発見。そのストローを引き抜く動画がネットに公開されて話題になった。
さまざまなホテルや飲食店がストローをプラスチックから別の素材に変える動きを見せているが、個人でもプラスチックではないストローを手に入れることは可能だ。日本国内で販売されている3製品をピックアップ。それぞれの特徴を解説する。
ノベルティーにも使われる紙ストロー
最初に紹介するのは「紙」のストロー。
紙ストロー「Choose」を開発したのは1981年創業の印刷会社、ホクビ(本社:石川県野々市市)。同社は歯ブラシのプリント技術で特許を取得。2015年に歯ブラシの自社オリジナルブランドを立ち上げ国内外で販売してきた。この歯ブラシに関して、2年ほど前から、欧米のバイヤーより「プラスチックに代わるエコな歯ブラシや商品がないか」という問い合わせが急増。様々な素材での歯ブラシ作りの研究・開発を進めてきたという。
歯ブラシの開発は、耐久面で課題があり、まだ完成していないが、その過程で、生まれたのが紙ストロー「Choose」だった。
素材には医療用の高品質な未さらしクラフト紙を使用。紙ストロー完成後に独自の熱処理工程を実施することにより、従来品よりも2倍の硬さと、24時間水に浸しても問題なく使える耐久性を実現した。
「Choose」で注目したいのは、ストローへの印刷だ。ホクビの佐藤優子さんによると、従来の紙ストローはすでに印刷された紙をらせん状にまきつけて製造するため、スパイラル模様のデザインしか作れなかったという。しかし、同社は完成した紙ストローに360度自由に印刷できる技術を開発した。
「その結果、縦方向への長い文字といったデザインも選べるようになり、環境保全に対するメッセージやコーポレートロゴも印刷可能になりました。従来よりもはるかに少ない500本から印刷できるため、ホテルやカフェだけでなく、イベントなどのノベルティーとしても採用していただいています」(佐藤さん)
2019年2月に業務用のオリジナル紙ストローを発売。消費者向けにも21種類(うち1種は無地)を用意し、東急ハンズ渋谷スクランブルスクエアや全国の雑貨店などで販売している。
口当たりもいい竹ストロー
2つ目に紹介するのは「竹」のストローだ。
和紙を使った新素材アンダーウエアで話題になったブランド「アンダーソン アンダーソン(UNDERSON UNDERSON)」を企画・運営するマッシュスタイルラボ(東京・千代田)。同社の代表取締役社長 近藤広幸氏が出張で出かけたタイで見つけたのが、「バンブーストロー」だった。
「プラスチックストローの代替品として紙ストローを使用したときに、課題となるのが結局ごみになることでした。その点、繰り返し使える竹のストローはサスティナブル(持続可能)なので非常にメリットが大きいと考え、発売を決定しました」(マッシュホールディングスの牧野霞さん)
竹製のストローは軽くて強度もあるので持ち運びも可能だ。「紙製ストローの場合、材質に影響されて飲み物の味が変わったと感じることもありますが、バンブーストローは影響が少なく、口当たりがいいのも利点です」と牧野さん。発売直後から店頭で品薄になり、ネットでは完売状態が続くほどの人気に。
「ご自身で使う方だけでなく、ギフトとして購入される方も多いようです」(牧野さん)。年齢、性別、国籍に関係ない、幅広い関心の高さを実感しているという。
洗練されたアルミストロー
最後に取り上げるストローは「金属」。
タカタレムノス(富山県高岡市)の「15.0%シリーズ」は、冷凍庫から出したばかりの固いアイスクリームでも手の温度が伝わりやすく、すぐに食べることができるスプーンで注目された。
同シリーズの新しいバリエーションとしてクリームソーダに焦点を当て誕生したのが、「15.0% アイスクリームストロー」だ。ストローだけでなく、スプーンとしても使えるデザインになっている。
「熱伝導率の高いアルミニウムの特性から、ストローをくわえたときに唇にひんやりとした冷たさが伝わります」と同社の菊地圭輔さんはその魅力を語る。「ストローが結露するので、視覚的にも清涼感を伝えることができるのも、金属製ならではの特徴です」
2019年9月2日に発売されたばかりだが、反応は良好だという。使い捨てではなく使い続けることができる製品だが、「環境に配慮しながらも、洗練されたデザインが評価されている」と実感しているという。「単純に『使いたい』『持ち歩きたい』という声も多くいただいております」(菊地さん)
(文 北本祐子)
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