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AirPods Pro大ヒットの理由 ソニーとどちらがいい?

西田宗千佳のデジタル未来図

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NIKKEI STYLE

アップルの新ヘッドホン「AirPods Pro」が売れている。2019年10月30日の発売日には、都内のアップルストアに行列ができたほど、ファンの注目度は高かった。本記事を執筆している11月中旬時点では、日本だけでなく世界中で需要が集中しており、アップル直販の場合、注文から到着まで2~3週間かかる状況だ。

発売直後から評判のAirPods Proはどこがいいのか? なぜこんなに人気なのだろうか? ライバル製品と比較しながら考えてみよう。

AirPodsに足りなかったものは

ご存じの通り「AirPods」はアップルの完全ワイヤレス型イヤホンだ。2016年末に発売され、日本を含む世界中でヒットした。左右の耳の間をつなぐケーブルのない「完全ワイヤレス型イヤホン」は2015年ころから製品が登場していたものの、AirPodsはマス市場に出た製品として、ほぼ最初期のものである。

最初期のものであるにもかかわらず、AirPodsは非常に高い完成度を持ち、今も現役の製品として販売されている。AirPodsは軽くて小さく、Bluetoothでの接続性も良好で、価格もこの種の製品としては高すぎない、1万7000円台からとなっていた。耳からマイク部が突き出たデザインには賛否があったものの、普及して見慣れてくると、そのことを気にする人も減ってきた。アップルは「AirPodsは世界でもっとも売れているヘッドホン」とコメントしており、それは事実であるようだ。同社は傘下に、ワイヤレスヘッドホンで大きなシェアを持つBeats Electronicsももっており、トータルでは、いまや世界一のヘッドホンメーカーといっても過言ではない。

ベストセラーであるAirPodsだが、満足していない人々も多くいる。

不満点は2つに集中している。ひとつめは「落ちやすく感じること」。耳に押し込むような構造ではないため、耳の形によっては、姿勢が変わった時に外れて、落ちることがある。小さなものなのでなくすのが不安……という声も多い。もうひとつは「音漏れ」。音を大きくすると(スマホの音量を最大に近づけた場合)音が外に漏れてしまう。特に日本人は後者に敏感だ。

実のところ、この不満は同じ理由に基づく。AirPodsは耳の穴をふさぐような構造になっていないからだ。そうなっていない理由は、周囲の音を完全に消してしまわないように、ということのようだ。音漏れしないイヤホンは耳栓のような構造になっていて周りの音も聞こえにくくなるので、安全性には難点がある。

日本の場合、特に都市部では通勤通学で電車やバスに乗っているときにイヤホンで音楽を聴く人が多い。電車・バスのノイズを消してリラックスしたい、というニーズも同様に多い。アップルのAirPodsや、iPhoneに標準添付しているEarPodsを使っている人の場合、音量を上げてノイズをわからなくすることが多い。結果として、外部に「音漏れ」しながら曲を聴く人が増え、それがまた新たな騒音源になっている。

「電車内で静かなヘッドホン」を求める日本人にマッチ

こうした問題に対処するにはどうしたらいいのか? 答えは「遮音性が高いヘッドホンを選ぶ」だ。ヘッドバンド型が人気の海外に比べ、日本はイヤホン型の人気が強く、特に遮音性を高めるために、耳の中に押し込む形状をしている「カナル式」イヤホンの人気が高い。

またハイエンドでは、単に遮音するだけでなく、ノイズと逆位相の音をぶつけることで、ノイズを聴感上感じにくくする「ノイズキャンセルヘッドホン」も人気である。

この両者を兼ね備えつつ、完全ワイヤレス型イヤホンとして2019年7月に登場したのが、ソニーの「WF-1000XM3」だ。こちらも人気が高く、発売から2カ月ほど品薄な状態が続いていた。

そこに登場したのが、アップルのAirPods Proだ。AirPods Proは完全なカナル型ではないが、耳の穴に入る部分にシリコンのチップを使うことで遮音性を高め、さらにノイズキャンセル機能を搭載して、AirPodsの「耳からの落ちやすさ」「遮音性・静粛性」という問題を解決してきた。日本でヒットしないはずがない、という組み合わせである。

「圧倒的な付け心地」が最大の魅力

では、実際使い勝手はどうなのか?

ネットには、AirPods Proを絶賛する書き込みが多数ある。それは本当なのか、というと「おおむねその通り」である。

筆者も発売日から、折りに触れてAirPods Proを使っている。ソニーのWF-1000XM3も持っているので、比較してもいる。

純粋な音質評価でいえば、AirPods ProよりWF-1000XM3の方がいいと感じる。また、ノイズがより聞こえなくなるのもWF-1000XM3だと思っている。

しかし、日常的に、長い時間使いたいのはどちらかと言われると、文句なくAirPods Proを選ぶ。理由は耳への負担の小ささだ。

AirPods ProにしろWF-1000XM3にしろ他の製品にしろ、遮音性を高めたイヤホンはどうしても「耳栓的」な性質を持つ。まず外から伝わる音を小さくし、その上でノイズキャンセル機能などを使うからだ。耳栓は耳にとっては異物なので、入れていると違和感を覚えやすい。耳の奥までふさぐ製品であればあるほどそうだ。WF-1000XM3の方がノイズが小さく感じるのは、ノイズキャンセル性能が高いだけでなく、耳栓的な構造がより強く、耳の奥までイヤピースを差し込むからだ。一方で、AirPods Proは耳の入り口までしか入れない。だから負担は軽く(ゼロではない)、付け心地もいい。

ノイズキャンセル機能はノウハウの塊で、性能のいい製品を作れる会社は限られている。ソニーやボーズは多数の製品で機能を実証しており、信頼感も高い。それに対してアップルは、ほぼこの製品が初物ではあるが、これだけきちんとノイズが消えて、しかも「付け心地のいい」製品を作れたことには感心する。

もうひとつ、他社製品に比べ優れているのが「外部音取り込み機能」だ。最近のノイズキャンセルヘッドホンでは、「外の音が聞こえなくなって危険である」という指摘に対処するため、ボタンなどを押すと、ノイズを消すだけでなく「外部の音をマイクで拾って、あえて音楽と一緒に流す」機能を搭載するようになっている。こうすれば、ジョギング中や誰かに話しかけられた時などでも、ヘッドホンを外すことなく音を確認できる。

外部音取り込み機能を使うと「いかにもマイクで取り込んだ」ような不自然な音になる製品が多いが、AirPods Proはあまり不自然ではない。ここでも「聞きやすさ」が重視されているのだ。

「アップル製品同士」に特化した操作性

AirPods Proからは、アップルが「ヘッドホンを日常的に、ずっとつけていてほしい」と考えていることが感じられる。設定も簡単だし、iPhoneからiPad、Macへと、複数機器を切り替えながら使うのも容易だ。前出のように、耳への負担も小さいため、長い間つけていても疲れにくい。飛行機の中の、大きいノイズもちゃんと消える。ただし、落ちにくくなったとはいえ、寝ているときにつけていても落ちないほどではない。国際線のエコノミー席でつけながら寝ていて、いつのまにか片方が外れていて慌てる……なんていうシーンもあった。

ただ、AirPods Proは「アップル製品と一緒に使う」ことを前提としたものである。Androidスマホやパソコンとも接続できるが、細かな設定変更やソフトウエアアップデートは、iPhoneやiPadから行う必要がある。iPhoneユーザーでない場合、便利さの何割かがそがれる印象だ。

その点、ソニーなど他メーカーの製品はiPhoneにもAndroidにも対応しているので、心配無用だ。AirPodsほど連携は洗練されていないが、多数のメーカーから製品を選べることは、それ自体を利点とみることもできる。

これはアップルが自ら望んだ商品性でもある。自社製品同士で最適な組み合わせにし、操作感もすりあわせておくことで、iPhoneユーザーにファーストチョイスを提供しているのだ。iPhoneユーザーは多く、その大半がAirPodsやAirPods Proを選んでくれるなら、アップルの収益はさらに大きくなる。そして、AirPods Proの快適さを知ると、「AirPodsを使いたいからiPhoneを選ぶ」という人も出てくるだろう。

そういう強い連携ができるのは、スマホとヘッドホン、両方のトップメーカーだからだ。現状、そういう企業はアップルしかない。AirPods Proは、アップルが自社の強みを最大限に発揮した製品といえる。だから、発売初日にはファンが並ぶのである。

西田宗千佳
 フリージャーナリスト。1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。

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