住宅の不具合、売り主に責任追及しやすく 民法改正不動産コンサルタント 田中歩

弁護士など法律の専門家らに話を聞いてみると、今回の変更は売り主がやや有利とされていた瑕疵担保責任の世界から、売り主と買い手の責任のバランスがとれた契約不適合責任の世界に移行するということのようです。

あいまいな商品は売り出せなくなる

売り主が不動産業者で買い手が一般の個人の取引の場合、物件の引き渡しから2年以上の期間について瑕疵担保責任を負う特約以外で、民法の規定より売り主が有利となる特約を結んではならない規定が宅地建物取引業法に定められています。もし、瑕疵担保責任について売り主に有利な特約(例えば、瑕疵の範囲をある部分のみに限定するなどの特約)を付して契約した場合は無効、つまり民法の規定通りとなります。

今回の民法改正においても宅地建物取引業法の規定は残るので、売り主が不動産業者の場合、売り主は契約不適合責任について物件の引き渡し日から2年以上、負担しなければならないことになります。

この点についてはこれまでと同様なのですが、瑕疵担保が契約不適合になることで変化が起こる可能性があります。契約不適合とは「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないもの」と規定されているので、住宅の場合、品質について契約の内容に適合しない場合が主な論点になりそうです。不動産会社である売り主は契約の段階までに(実際には販売の段階から)契約の内容に適合する品質を定義しておかざるを得ないでしょう。

例えば、売り主が不動産会社となるリフォーム済みの中古マンションなどは、どの部分をどのように交換し、何をもってグレードアップしたのかをきちんと説明できる状態にしておかないと、買い手から追完請求や代金減額請求をされかねないリスクが高まります。今回の民法改正で、見える部分だけリフォームした物件なのか、見えない部分まで手を入れた物件なのかを事前に明確化せざるを得なくなる、つまりよりよいリフォーム物件が出てくる環境が整う可能性があるのではないかと筆者は考えています。

個人間の中古住宅売買には効果薄?

一方、一般消費者同士の中古住宅の売買の場合、大きな変化は起こりにくいのではないかと考えています。というのは、契約不適合責任は瑕疵担保責任と同様、任意規定だからです。つまり契約不適合責任を免責にしたり、契約不適合の範囲を限定したりしても法的に問題はありません。

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