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なんとなく調子が出ないのはメンタル不調の前兆かも。画像はイメージ=PIXTA

なんとなく調子が出ないのはメンタル不調の前兆かも。画像はイメージ=PIXTA

体調管理や体力づくりに熱心なビジネスパーソンは珍しくないが、メンタルケアは後回しにされがちだ。しかし、『部下の心が折れる前に読む本』(幻冬舎メディアコンサルティング)を書いた刀禰真之介氏は「長く働き続けたいと考えるなら、自分のメンタルを働ける状態に保つのは、身につけておきたい最重要のスキル」とみる。メンタル不調を防ぐ工夫や、早い段階で立て直す方法を聞いた。

気軽に精神科医へ相談に行けるか

ちょっと風邪ぎみだから、近所のかかりつけクリニックで薬を処方してもらうというのは、一般的な医療との接し方だろう。しかし、これがメンタルとなると事情が変わってくる。このところ何だか楽しくないからと、気軽に精神科医へ相談に行くという人はまれで、我慢したり放置したりしてしまいやすい。クリニックを訪ねるのは深刻な状態に至ってからとなりがちだが、刀禰氏は「もっと手前の段階で打つ手はあるし、そのほうがずっと効果を期待しやすい」と、早期の発見・対応を促す。

脳梗塞の場合、ろれつが回らなくなるといった特徴的な症状が広く知られるようになってきた。周囲や本人が気づきやすくなり、早い段階で適切な処置を受けられる可能性が広がった。しかしメンタルの場合、外見では気づきにくいせいもあって対応が後手に回りやすい。ただ刀禰氏によれば、「いくつかの気づきポイントはあり、それらを知っておくだけでも状況を改善するきっかけになり得る」という。

たとえば、眠りは比較的、分かりやすい気づきポイントだ。寝つきが悪い、眠る時間が短くなる、眠りが浅くなる、何度も起きてしまうなどの症状は、「ストレスが大きくなっている場合に起きやすい」(刀禰氏)。不眠を単なる不調と考えず、背景にストレスの増加やメンタルバランスの乱れがあると考えれば、最近の仕事環境の変化といった「原因」に思い当たることもある。睡眠導入剤のような形で対症療法的に片付けてしまうと、せっかくの気づきチャンスを逃してしまう。

複数の変化ポイントを知る

食事や体重も、メンタルヘルスを映す。食欲が落ちた、体重が減ったという変化は、精神的なトラブルに起因しているケースが少なくない。日ごろに比べて残す量が多くなったというような、量的な変化は目で気づきやすい。逆に、やたらと食べたがる、体重が急増したというのも要注意のシグナルだ。食べることによって、無意識のうちにストレスをまぎらわせようとしている可能性がある。「普段から体重計に乗る習慣をつけておけば、数字が不調を教えてくれる」(刀禰氏)。同僚や家族からの指摘にも耳を傾けたい。

目に見えない変化も、メンタルの不調を物語る。刀禰氏は「趣味や遊びへの関心が衰えるときは、気をつけたほうがよい」とアドバイスする。ふだんは興味を示すような事柄であっても、気持ちがふさいでいる状況では、反応が鈍くなりがちだという。いつもはストレスのはけ口になってくれるはずの関心事にすら、心を動かされないのだとしたら、そういう余裕を失いつつある状況なのかもしれない。「こうした複数の変化ポイントを知っているだけでも、不調に早く気づきやすくなる」という。

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