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記憶に残る「牛のワラ焼き」の味わい 東京・自由が丘

2019/11/25
質のいい赤身肉をていねいに焼き上げた「熊本赤牛ランプ藁(ワラ)焼き」
質のいい赤身肉をていねいに焼き上げた「熊本赤牛ランプ藁(ワラ)焼き」

「おいしい店」は世の中にたくさんあるが、「記憶に残る店」はそう多くない。東京・自由が丘に2019年6月にオープンしたイタリアン「SPIRITO LIBERO(スピリト リベロ)」のオーナーシェフ佐藤敬さんも、「『おいしい』は食事の要素のひとつ。自分は食事の楽しさまで提供したい」というが、なによりそう話す佐藤さん自身がお客を笑顔にすることを存分に楽しんでいるのが印象的。

Summary
1.都内イタリアンで修業を重ねた実力派シェフが独立
2.有機栽培野菜を楽しめる、素材の個性を生かした調理
3.遠火でじっくりと火入れした「牛の藁(ワラ)焼き」は感動

故郷・岩手に暮らす佐藤さんの母親から野菜が届けば、親子のストーリーを前菜として提供し、スマホ片手に注文品を待つ一人客がいれば話しかけ、お客が帰るころには「また来るね」と仲良くなってしまう。オープンハートを地で行く男なのだ。

「藁焼き鰆(サワラ)の炙(あぶ)りカルパッチョとゆり根」(ハーフサイズ)

ではさっそく、おすすめメニューを紹介していこう。一品目は肌寒いこの季節に脂がのったサワラが主役の「藁焼き鰆(サワラ)の炙(あぶ)りカルパッチョとゆり根」。ワラ焼きしていぶし、香りをつけた本サワラにあえているのは、アンディーブ(チコリ)の新芽とシュンギク、ユリ根。

鮮度が高いユリの根は生のまま盛りつけられているので、シャキシャキとした食感が楽しく、かむたびにユリ科特有の香りが鼻を抜ける。

フレッシュなアンディーブ、香り高いシュンギク、しっとり食感の本サワラといった個性豊かな食材が見事にまとまり、うま味、風味、酸味ともにベストなバランスを保った一皿であるが、そこに独特のアクセントを加えてくれているのがトップに散らされたニラの花だ。

「ニラの花は、飾り要素が少なめで、味が8割ですね」と佐藤さんが表現する通り、見た目の美しさ以上に、口いっぱいに広がる香味が衝撃を与えてくれる。この花が添えられたことで、全体の味わいがキュツと引き締まって感じられるのだ。

料理に使う野菜の大半は畝田謙太郎さんが代表を務める野菜卸会社ルコラステーションから取り寄せている。畝田さんが全国から仕入れる有機栽培野菜はどれも滋味豊富で、旬の食材が蓄えたパワーがじんわりと身体にしみていくようだという。鮮度や調理法にこだわった魚や肉との相性もバッチリだ。

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