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星間物質は摂氏3万度 ボイジャーが太陽圏越え観測

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ナショナルジオグラフィック日本版

2018年11月、地球から遠く離れた宇宙の暗闇で、米航空宇宙局(NASA)の宇宙探査機ボイジャー2号が探査の大きな節目を迎えた。私たちの太陽圏を脱して、星間空間に到達したのだ。太陽圏の外に出た探査機は、ボイジャー1号に続いて2機目となる。

それから約1年経った2019年11月4日、学術誌「Nature Astronomy」に5本の論文が掲載された。これは、太陽圏と星間空間の境界付近のプラズマを直接観測した初めての報告だ。プラズマは電気を帯びた粒子で、太陽風はその流れである。1977年に打ち上げられたボイジャー2号は、いずれも巨大な氷の惑星である天王星と海王星に接近した唯一の探査機でもある。

姉妹機のボイジャー1号は、2012年に星間空間への到達を果たした。2機のデータを比較すると、星間空間に存在する粒子の密度など、共通する部分も多かったが、太陽圏を脱出するときの観測には興味深い違いもあり、銀河系(天の川銀河)内での太陽の動きについて新たな謎が深まった。

米カリフォルニア工科大学の物理学者でボイジャー計画の科学者エド・ストーン氏は、論文の公開に先立って開かれた記者会見で、「本当に素晴らしい旅になっています」と語った。

また、米プリンストン大学の博士研究員で物理学者のジェイミー・ランキン氏も、「人類が星間空間にいると思うと、ぞくぞくします。すでにボイジャー1号が星間空間へ到達していますが、今回の到達はもっと重要です。2カ所の異なる場所の星間物質を比較できるからです」と付け加えた。なお、ランキン氏は今回の研究には関与していない。

太陽圏は私たちを守る宇宙の「シャボン玉」

ボイジャー2号による最新の発見を理解するには、太陽が単なる火の玉ではないということを知っておくとよいだろう。

私たちの太陽は激しく燃えさかる核融合炉であり、時速約80万キロで銀河系の中心を周回している。

また、太陽の表面からは常にプラズマの太陽風が放出されている。この太陽風はいずれ恒星の間を漂う星間物質と衝突することになる。

星間物質は、遠い昔に恒星が爆発した名残で、油と水のように、太陽風と星間物質が完全に混じり合うことはない。おかげで、両者がぶつかる部分に境界面ができる。太陽からはあらゆる方向に太陽風が放出されるため、星間物質の中のシャボン玉のようになる。この内側が太陽圏、すなわち「ヘリオスフィア」で、その境界面は「ヘリオポーズ」と呼ばれる。

ボイジャーのデータによると、太陽からヘリオポーズまでの距離は、太陽の進行方向の最先端部で約177億キロ。そして太陽圏の泡は太陽と8個の惑星をすべて包み込み、私たちの繊細なDNAも含め、内部にあるもの全てを、銀河系からやってくる強力な銀河宇宙線から守っている。

太陽圏が外の星間空間と接する境界付近には、銀河系の中を移動する太陽圏についての情報が深く刻み込まれている。また、宇宙に散らばる他の恒星の状況もわかるかもしれない。

「私たちは、太陽風と星間物質がぶつかり合う境界面がどうなっているのかを理解しようとしています。その2つがどのように混じり合うのか。泡の内側から外側へ、または外側から内側へ、どれだけの物質が移動しているのかを知りたいと思います」とストーン氏は会見で語った。

そのヘリオポーズを、科学者たちが初めて目にしたのは2012年8月25日だった。ボイジャー1号が星間空間に突入した日だ。だが、そこから得られた情報は予想外のものだった。例えば、星間空間の磁場は予想されていたよりも2~3倍も強力だった。つまり、太陽圏は予想されていたよりも10倍も高い圧力を星間粒子から受けていた。

「私たちは初めて実際に星間物質を体験したのです。実に画期的でした」。NASA本部のプログラム科学者で、太陽系物理学者のパトリック・コーエーン氏はそう語った。

漏れやすかった境界面

だが、ボイジャー1号のもたらした情報は完全ではなかった。プラズマの温度を測定する機器が故障していたのだ。対して、ボイジャー2号の機器は正常に機能していたため、1年前の2018年11月5日にヘリオポーズを越えた際、境界面をより正確に観測できた。

おかげで、ヘリオポーズに2億2400万キロ(1.5天文単位、太陽と地球の距離の1.5倍)まで近づくとプラズマが減速し、温度が上がり、密度が高くなることが初めて明らかになった。また、境界面の外側にある星間物質の温度は予想よりも高く、少なくとも3万度であることもわかった。

さらに、ボイジャー2号はヘリオポーズがとても漏れやすい境界面であることも確認した。入ってくるものもあれば、出ていくものもある。ボイジャー1号はここを通過する前に、星間粒子がヘリオポーズを突き抜けて太陽圏内へ侵入していたことを観測したが、ボイジャー2号は逆に、低エネルギーの粒子がヘリオポーズの外へ流れ出て、その先数百万キロに渡って伸びているのを観測した。

もうひとつ不可解な点がある。ボイジャー1号では、ヘリオポーズまであと12億2500万キロに迫ったところでも、流れ込んできた星間物質のせいで太陽風が停滞する領域を発見した。一方、ボイジャー2号でも、ほぼ同じぐらいの場所で太陽風の停滞を観測したものの、太陽風は全く異なる動きをしていた。

「とても奇妙です。詳しいことを知るには、もっと多くのデータが必要です」と、コーエーン氏は言う。

今後の星間空間の探査は?

これらのパズルを解くには、太陽圏の全体像を知る必要があるだろう。ボイジャー1号は、太陽圏が星間物質と衝突する最先端近くから外へ脱出した。一方ボイジャー2号は、その左側から脱出している。太陽圏の後方に関してはまだ何のデータもないので、全体像はわからない。星間物質の圧力を全方向から受けているため、太陽圏はおおよそ球形をしていると考えられているが、彗星のような尾を持っているか、あるいはクロワッサンのような形をしている可能性もある。

太陽圏の外へ向かって現在旅を続ける探査機は他にもあるが、ヘリオポーズのデータは期待できない。時速5万キロという猛スピードで遠ざかっているNASAのニューホライズンズ探査機は、2030年、ヘリオポーズまであと16億キロという時点で燃料切れとなる。そのため、新たな探査計画が必要だ。目指すは、太陽系外縁部と、その先の太陽風が届かない未知の宇宙空間を探査する50カ年多世代計画だ。

「今は私たちを取り巻く巨大なシャボン玉のたった2カ所を通過しただけです」と、論文の共著者でジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所の名誉所長であるスタマティオス・クリミギス氏は会見で訴えた。「2つの例だけでは、十分ではありません」

ランキン氏をはじめとする新しい世代の科学者たちは、バトンの引き継ぎに意欲を見せる。ランキン氏は、カリフォルニア工科大学でボイジャー1号の星間データを使って博士論文を執筆した。ストーン氏は、その担当教官だった。

「私が生まれる前に打ち上げられ、今なお活躍している探査機です。その最先端データを使った研究は、素晴らしい経験でした」とランキン氏は述べる。「ボイジャーと長い間ともに過ごしてきたすべての方々に感謝しています」

(文 Michael Greshko、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年11月6日付]

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