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子育てしつつ元気に働くには 子持ち産業医からエール

こちら「メンタル産業医」相談室(37)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

光陰矢の如しで、あっという間に2019年もあと1カ月ほどとなりました。あなたの心と体はお元気でしょうか? こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。さて今回、「働きながら子育てする人」が元気に仕事と育児を両立していくために、産業医としてのエールをつづりたいと思います。

最近ネットでは、「子育てしながら働くのは恐ろしくしんどい、苦行でしかない」といった悲観的論調の記事や、はたまた「働きながら子育てしている人の方が幸福度が低い」といったネガティブなデータを紹介した記事が散見されます。こうした記事を読むたびに、私は一人の産業医そして女性として、若い世代のワーキングママ(パパ)の子育てと仕事の両立を図ろうとする意欲が萎えるのではないかと危機感を抱かざるを得ません。

私は平成時代の前半に2人の子供を出産し、現在まで夫婦共働きしながら子育てしてきましたが、確かに子育てしながら仕事をしていくのは、現在の日本ではいろいろと問題があり、苦しいことや悔しいことに出合うのは真実です。

「当直できないのならクビね」

私自身、子供を出産した平成の前半はマタハラ(マタニティーハラスメント)といった言葉すらなく、女性の活用といった意識も乏しかったため、妊娠を報告した途端に医局に呼び出され医局長から「派遣先の病院を辞めるように」と圧力をかけられたり、勤め先の病院長からは「当直できないのならクビね」と契約更新されなかったりと、様々な悔しくつらい思いをしました。私と同じように、いやそれ以上に理不尽な嫌なこと、つらいことを経験したワーキングママを何人も知っています。

令和の時代になっても、まだまだ日本では女性が働きながら快適に子育てできる環境が整っているとは言えないため、いろいろなストレスを感じているワーキングママ(パパ)も多いでしょう。

でも、決して子育てしながら働くのは苦労ばかりではないのです。「苦あれば楽あり」いや「苦の後には大楽あり」で、子育て中は子供を通じて親に必ず大きな喜びのプレゼントが、定期的に確実にやってきます。

例えば七五三、卒業式、入学式、運動会、発表会、誕生日といった子育て中ならではの様々な行事・イベントでは、わが子が若木のように成長していく姿に感無量になります。

それらは今までの苦労を吹き飛ばす温かく深い感動で、「人生で初めてうれし涙を経験した」という親御さんも少なくありません。私自身も「今までの子育ての苦労がチャラになっておつりがくるぐらいの感動や喜び」を子育て中に何度も経験しましたし、今現在も経験し続けています。

また人として一生の中で、子育て中ほど自分が唯一無二の存在として他者に求められることは恐らくないでしょう。ママ(パパも)は、子供が幼児の頃には「不安になったり眠くなったりすると、必ず抱きつきにくる」絶対的な存在ですし、小学生になり思春期に入っても、子供がいざというとき頼ってくるのは必ず親なのです。

子供が小さくて親側の気持ちに余裕がないときには、それが煩わしくストレスに感じることもあるとは思いますが、「自分が他者にここまで絶対的に必要な存在として求められる」経験は、仕事上でもプライベートでもめったにありません。この「自分をこんなにも必要としてくれる存在がいる」という経験や、そこから生まれる「この小さな存在を守りたい」いう感情は、親自身の自信と存在意義を知らず知らずに高めてくれています。昔から「人は親になったら強くなる」と言われるのは、そのためではないでしょうか。

確かに仕事をしながら子育てをしていると、子供の年齢が低ければ低いほど、それに比例して自分の時間とエネルギーが大幅に奪われます。経済的にもかなり縛りが出てくるでしょう。子供を持たない同僚たちが気軽に飲みに行ったり、趣味や旅行をリッチに楽しんだりしている姿や、同期が思う存分仕事をしてバリバリ活躍している姿を見ると、羨ましく思ったり焦ったりすることも多々あると思います。

ピンポイントでは、「働きながら子育てしている人の方が幸福度が低い」と感じる時期も確かにあることは事実でしょう。冒頭に紹介した幸福度の調査というのは、たいていがアンケートの質問用紙を渡して回答した結果を統計して出されるものなので、子育てと仕事で時間に追われててんてこ舞いしている若い世代の人たちに回答を求めれば、そうでない余裕のある人に比べて幸福度が下がるというデータになるのも仕方ありません。でもそういったデータにあおられて、自分たちの人生の選択に自信を失わないでほしいと思います。

仕事をしつつ、てんてこ舞いしながら子育てしている時期は、おしゃれや流行に疎くなり友人付き合いも遊びも思うようにできず、大人としての楽しみは確かに減ってしまいますし、キャリア形成も子供のいない人に比べて遅れがちになってしまいます。しかし子育ての醍醐味と喜び、幸せは、もっともっと長い時間軸で、大河のうねりのようにじっくりと押し寄せてくるものなのです。そしてそれらは確実にあなたの仕事にも人生にも良い影響と効果を及ぼしていきます。

例えれば、脇目も振らずに一心不乱に歩いていてふと立ち止まれば、思いもよらなかった美しい果実が目の前で実っているという感じでしょうか? その果実は、享楽的な遊びや仕事から得られる喜びとは全く別な、深く全身に染みわたるような味わいなのです。私が子育て中の様々な年代のワーキングマザーと話していて心に残った言葉をいくつかご紹介しましょう。

心に残ったワーキングマザーたちの言葉

「子育てを通じて、今まで想像もしなかった新しい世界を知ることができた。それまでは大人の世界しか知らなかったけど、子育て中に関わる様々なサービスや人々を通じて、ああこんな世界もあるんだと視野が少しずつ広がった。それは仕事をするうえでもメリットや強みになっている」 (30代 広告業)

「子供の成長とともに忘れていた自分の子供時代の思い出を再体験してその頃の自分のピュアな気持ちを思い出したり、親の苦労が理解できたことで、ふと気が付くと自分の人生の味わいや他者への共感性がとても深まっているのを感じた」(30代 教師)

「育児書や子育てセミナーなどで子育ての情報を手当たり次第に探しながら悪戦苦闘しているうちに、人の成長を心理的にサポートするコーチング的なプロセスを学んでいた。自分自身も人間として成長できたし、その経験は仕事の人間関係でも確実に役立っている」(40代 管理職)

「子供が不登校になりかけて大変なときもあったけれど、なんとか乗り越えていく中で、自分自身もすごく強くなれた。それと同時に弱い立場の人に対しても、以前より思いやりの気持ちを持って接することができるようになった」(40代 医療職)

「自分は何をやっても人並み以下の成果しか出せずに自信がなかったけれど、子供が成人し社会人になった姿を見て初めて『こんな私でも1人の人間を育てあげられたんだ』と自分に自信が持てた」(50代 事務職)

これらはあくまでも個人的感想であり、人それぞれに子育てを通じて得られる果実は異なると思いますが、今「大変だなあ」と感じているワーキングママ(パパ)も、どうぞ長い目で人生を捉えながら焦らずに、子育てにじっくり取り組んでほしいと思います。

とはいえ、現在小さい子供を抱えて、多忙すぎる毎日を送っている中では、ストレスや不安で心が平静でいられない時期も繰り返しやってくるでしょう。私自身も両親の手助けが一切得られない環境だったため、特に子供たちが幼児期から小学校時代にかけては子育てに多大な時間と体力が取られてしまい、いろいろ悩んだり焦ったりすることも多々ありました。

そんなとき、人生の先輩から次のような言葉をもらってとても励みになりました。本稿の最後に、ぜひシェアしたいと思います。

励みになった先輩からの言葉

「あなたは、少子化にあえぐ日本を支えてくれる貴重な人財を産んで育てているんだから、もっと自分に自信を持ちなさい。子育てというとても重要な仕事をしているうえに、働いて税金まで納めているんだから、何を言われても堂々としていたらいいんだよ」(妊娠が発覚したときに勤務先の病院を辞めさせられそうになった私を励まし救ってくれた教授からの言葉)

「今は大変だけど、子育ては3年たつごとに、ぐんぐんぐんぐん楽になるわよ。気が付いたら思春期になって触らせてもくれなくなる。もっと抱っこしていっぱいほおずりしておけばよかったなあって絶対に懐かしく思うから、ママ~って甘えてくれるうちは、精いっぱいあなたも子供との時間を楽しんで。仕事や大人のお楽しみは、そのあとからでも十分できるから」(手のかかる幼児期にストレスをためていた私に50代の先輩ママがくれた言葉)

「世の中の仕事って、必ず自分の代わりがいるものなのよ。すごく頑張って成果を上げていても、病気になって働けなくなったら次の人にすぐすげ替えられる。自分でなければ絶対にできない仕事は、ママ業だけ。ああもっと前に気が付いておいたらよかった。あなたは私のようにならないで。ママとしての時間をもっと大切にしてね」(育児中に仕事で無理を重ね、病気になって休業した先輩女医の言葉)

今回は一人の産業医・働く女性として、個人的な経験を交えつつ若きワーキングママ(パパ)に対するエールを中心にまとめてみました。子育てと仕事の両立は大変だと思いますが、必ずその苦労は報われますので希望を持って頑張ってくださいね。次回は具体的な子育て中のセルフケア法について書こうと思います。どうぞお楽しみに。

奥田弘美
精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント。1992年山口大学医学部卒。精神科医および都内約20カ所の産業医として働く人を心と身体の両面からサポートしている。著書には『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)、『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』(すばる舎)など多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人に合ったマインドフルネス瞑想(めいそう)の普及も行っている。

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