子ども自身がブラジャーを着けたがらない理由

「そろそろ胸を守る下着に切り替えを」というタイミングは「体操着チェック」で分かるかもしれません。しかし次の心配事は、子ども自身が素直に下着を切り替えてくれるかということ。小学校中学年にもなれば、そろそろ親のいうことを全て聞くということがなくなってくる頃でもあります。

性教育に関する講演活動を行っている、のじまなみさん。「内に閉じこもりがちな性教育をもっと、明るく、開放的に 子供たちと向きあえるようになってほしい」という思いから、2018年に「とにかく明るい性教育 パンツの教室協会」を設立した。著書に『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)がある

性教育講座を行っている「とにかく明るい性教育 パンツの教室協会」代表・のじまなみさんは、「ブラジャーではなく、胸の部分が二重になっているキャミソールでさえ、着るのを嫌がる子はいます」と話します。やはり、そうですか。

「その理由は『皆はまだなのに、私だけなんて嫌』なんです。これは、普段一緒にいる友達と違う行動をして、仲間から外れてしまうのが嫌、ということ。子どもからよく聞きませんか? 『みんな○○を持っているんだから、私も買って』って。それと同じく『まだ皆そんな下着は着ていないんだから、私も着たくない』なんです。体操着に着替える時などにどんな下着を着けているか分かるし、ブラジャーなんて、薄着シーズンは服の上からでも、分かります。思春期の女の子は団結力が強い分、『○○ちゃんだけ、ブラジャーしている』というようなひそひそ話に敏感です。でも、胸が膨らみ始めたら、胸を守るための下着やブラジャーは必要です。

低学年の頃は男女別々に遊んでいても、5~6年生では恋の話も出てきます。そのことを考えても、高学年になったら『女性としての意識を持ってほしい。だから、体を守る下着は必要』ということになります」(のじまさん)

女の子の自分の体への意識は個人差が大きく、同じ学年でも、そういったことにまったく興味がない子もいれば、恋バナに興味津々で、大人のドラマを見るのが楽しみな子もいます。ただ、そんな精神年齢と体の発育状況は必ずしもリンクしないのです。

「自分で自分の体を守るために水着ゾーンはしっかり隠してほしい」とのじまさんは著書でも述べている

本人は、無邪気だけど胸は大きく膨らみ始めていて、どう見てもブラジャーをしたほうがよさそう。そんなときに誘導するのに役立つのが、「水着ゾーン」の話なのだそうです。のじまさんは、「いちばん伝えたいのは、『あなたはすくすく成長してこんなにすてきになった。だから、自分で自分の体を守るために水着ゾーンはしっかり隠してほしい』ということです」と言います。

「水着ゾーン」というのは、「プライベートパーツ」のことを子どもにも分かりやすくした言葉です。プライベートパーツとは、外性器とおしり、口、胸のこと。口以外は水着や下着で隠れるパーツという教え方が一般的にされています。

プライベートパーツを大切にすることが、自分を大切にする性教育の大事なポイントであることは伝えてきました。プライベートパーツは、自分以外の人に見せてはいけないし、触らせてはいけない部分。命が生まれるということに関する部分であるし、自分自身のいちばんデリケートな部分だから。そこを隠すのは、恥ずかしい部分だから、汚いから、ではありません。とても大切な自分自身だからです。

のじまさんは、子どもが、自分の体を肯定的に捉えるようにすることがあくまでも大切だと話します。「『あなたの体はすてきな体だね、そしてますますすてきに成長していくんだよ』、ということをしっかり伝えてほしいと思います。中には、まだ大人になりたくない、という思いから、女性としての体になっていくことに抵抗がある子もいるかもしれません。そんなときに、親としては、自分の体を認めて、守れるようになることを教えてほしいと思います。『自分の体なんて、適当に扱われてもしょうがない』などと思わないような声掛けをしてほしいのです」

自分の体の変化についての捉え方について、上地さんは次のように話します。

「女の子の体は胸が膨らむと同時に、だんだん丸みを帯びて、ウエストのくびれもできてきます。大人はそれを、『女性らしい体になってきた』と感じますが、子ども本人は『太った』と感じることが多いです。そこで母親から『最近食べ過ぎなんじゃない?』とか『そんなに食べたら太るわよ』といったことをいわないでほしいのです。第二次性徴期で脂肪がつくのは、主に下腹部からおしり、太ももで、これは子宮を守るためについてくる脂肪です。大人が太るのとは違って、これは成長です。そのことについて否定的な言葉を使わず、肯定的に伝えることで、自分の体の変化には理由があると感じさせてほしいと思います」

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ブラに抵抗がある女の子にすすめるときの工夫