タロイモミルク・緑茶ミルクティー…タピオカの次は?

日経クロストレンド

もう1つはミルク系ドリンクに対する注目だ。タロイモミルクには茶が一切使われておらず、「店名にもある通り、ミルクにこだわったドリンクであることが売り」(ミルクシャ アオヤマのツァイ・ミンツァン代表)。さらに有木氏は「(台湾発祥のものだけでなく)『OCHABA(オチャバ)』など日本茶を使ったミルク系のドリンクも話題になっている」と語る。

オチャバは19年3月に東京・新宿にオープンした日本茶ミルクティーの専門店。代表的なメニューの「緑茶ロイヤルミルクティー」は独自にブレンドした静岡県の茶葉をミルクで煮出したドリンク。トッピングは一見タピオカのようだが、黒蜜を使ったわらび餅だ。10~20代の女性や訪日外国人客を中心に人気を集め、土日は終日混み合う状況だ。

「OCHABA」の「緑茶ロイヤルミルクティー」(580円・税別)。煎茶を使ったロイヤルミルクティーで、甘さの調節が可能。基本のトッピングは「黒蜜わらび餅」で、プラス料金で白玉に変更できる(写真提供:OCHABA)

ミルクを使った甘みのあるお茶にトッピングを加えている点はタピオカドリンクに近い。だが「ポストタピオカとして仕掛けたいという意識は全くなかった」と、同店を運営するオペレーションファクトリー(大阪市西区)の西口アキコ氏は振り返る。

「抹茶を使った商品は多いが、日本茶は歴史や文化があるにもかかわらず、ペットボトルのイメージしかなかった。日本茶に多様性を持たせて、おいしさを広めたいと考えた」(西口氏)。そこでトレンドであるミルクと茶を合わせ、「日本茶を甘く飲める」ことをポイントに開発を進めた。和風スイーツとの組み合わせを考えたところ、わらび餅と相性が良かったのでトッピングに加えたという。

ポストタピオカドリンクとしてオチャバを取り上げたいという取材依頼も多い。だが、「一過性のブームで終わるようなドリンクではないと考えている」と西口氏。新しい飲み方を提案することで、日本茶に対する支持を広げたという自負もあるようだ。タピオカドリンクに端を発したミルク系ドリンクのトレンドが、「日本茶ドリンク」という新しい市場を掘り起こした形といえるだろう。

飲食大手のカフェ・カンパニー(東京・渋谷)も、タピオカドリンクをきっかけに日本茶に注目している。同社はサントリーと手を組み、東京・渋谷に日本茶をテーマにしたカフェ「伊右衛門サロン」を開業した。現在の店舗はフルサービス型だが、今後はスタンド形式の店舗を広げる予定だ(関連記事「抹茶スイーツにおばんざい 渋谷に『伊右衛門サロン』」)。

今後も「スタンド形式のドリンク店」は増える

一方、タピオカドリンクブームを仕掛けた側はトレンドの変化を感じているのだろうか。

台湾茶の専門店「Gong cha(ゴンチャ)」は15年、東京・原宿に1号店を開業。その後も着々と店舗数を広げ、19年11月1日に開業した渋谷スクランブルスクエア店を入れて全国47店舗を展開する。1990年代に次ぐ「第2次タピオカブーム」を巻き起こしたトップブランドだ。一番人気はタピオカをトッピングしたブラック(紅茶)ミルクティーだが、「ここ最近、タピオカ以外のドリンクを頼む客が増えてきた」(ゴンチャ ジャパン広報の後藤千絵氏)。

同店はリピーター率が高く、多い店では7割以上。複数回来店するうちに、タピオカをトッピングしないドリンクやストレートティーを注文する人が増えてくるそうだ。後藤氏は「来店のきっかけがタピオカでも、通ううちにお茶のおいしさに気づいてくれたのではないか」という見解を示す。

第2次タピオカブームは、「コーヒー以外のミルクを使ったドリンク」を「スタンド形式で楽しむ」という新たな市場を作った。ゴンチャも18年末時点で24店舗だったところ、約1年で2倍にまで店舗を増やした。有木氏の指摘にもあるが、まだまだこのブームは衰えそうにない。当面はタピオカ人気は保ちながら、その裏でミルク系ドリンクやお茶にこだわったドリンクのバリエーションが広がり、スタンド形式のドリンク店がますます増加していく可能性がある。

(ライター 樋口可奈子)

[日経クロストレンド 2019年11月6日の記事を再構成]

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