兵士と生涯を共にする軍用犬 IS指導者追い詰め脚光
冷戦の時代から、米軍の兵士たちは高度な訓練を受けた犬とともに働いてきた。そして、多くの犬が爆発物や敵の陣地を探り当て、パートナーである兵士「ハンドラー」の安全を守ってきた。
2019年10月28日、軍用犬のコナンが、過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者アブバクル・バグダディ容疑者を追い詰めたヒーローとしてたたえられた。コナンの犬種はベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア。容疑者を洞窟の奥に追い込み、急襲作戦を成功に大きく貢献したという。
コナンのような軍用犬が命を救う兵士の数は、1匹当たり推定150~200人とされる。かつて軍用犬は道具のように扱われ、役目を終えると、多くの犬が安楽死させられていた。しかし近年、軍用犬として繁殖された犬でも、それまでの働きをねぎらう方向へと変化している。
そして2015年11月、米国政府が具体的な行動に出た。当時のバラク・オバマ大統領が、退役した軍用犬の生活を保障する条項を法律に盛り込んだのだ。
米アメリカン・ヒューメイン協会の会長ロビン・ガンザート氏は当時、次のような声明を出している。「これらの犬を誰よりもよく知る人々が、ヒーロー犬の飼い主になる優先権を与えられます。イラクやアフガニスタンの高温の砂漠や世界各国の基地で、彼らと勇敢に任務を果たしたハンドラーたちです」
この下の写真も含めて、これから紹介するのは写真家アダム・ファーガソン氏が撮影した兵士と軍用犬の写真だ。互いを信頼し、ときには命を懸けて、ともに任務を果たす兵士と軍用犬の絆が伝わってくる。
(文 BRIAN CLARK HOWARD、写真編集 SARAH LEEN、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック・ニュース 2019年11月1日付け記事を再構成]
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