検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

女性もはまる「ゆで太郎」 そばとつゆの秘密教えます

ゆで太郎システム 池田智昭社長(上)

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

「ゆで太郎」という、いわゆる立ちそば店が現在東日本を中心に204店展開し、今やこの業態では最多店舗数のチェーンとなった。営業先回りの合間に猛烈サラリーマンが立ち寄るなど男性に支持されているが、「そばがうまい!」とシニア層や女性にも隠れたファンが増えているという。低価格ながらおいしいそばをどう実現しているのか、マスターフランチャイズ契約を結び、約8割の店舗を展開するゆで太郎システムの池田智昭社長に聞いた。

――「ゆで太郎」のファンだという人が身の回りにけっこういます。中には、外食チェーンの商品開発をしている人も含まれます。彼らは「とにかく、おいしい」と口をそろえるのですが、その秘密はなんでしょうか。

店で手作りしているからですよ。毎日、店内で製麺し、つゆもだしを取るところから仕込み、天ぷらなどに使う野菜も店でカットしています。このおいしさは、味に敏感な女性のお客様にも支持されていますよ。お仕事の合間に女性1人で立ち寄ってくださるお客様が増えているんです。うちは客席を充実させていて立ち食いコーナーは少ないんですが、女性のお客様が立って食べていたりということもよくあります。

おいしさについて詳しくお話ししましょう。まず、そばは、そば粉の比率が55%です。店には一般的なそば専門店と同じタイプの製麺機があって、これを使って製麺しますが、出来たそばは3時間寝かせて、その後1日以内に使い切るということにしています。だいたいもっと早く出てしまいますが。

――そば粉55%というのは、やはり多いわけでしょうか。それから、打ってすぐ使うのではなく、時間を置くのですね。

東京の昔ながらのそば屋さんは、聞いてみるとだいたい50~60%ですから、それと同等ということです。今は、立ちそば店で配合を公表しているところがないので他社さんが何%かは分からないのですが、何年か前に、ある鉄道系のところは18%と広報の方が発表していましたから、「ゆで太郎」は相当にそば粉比が高いものと考えています。

打ってから3時間寝かせるというのは、水分をなじませるのにそれくらいの時間が必要だということです。よく、そばはひき立て、打ち立て、ゆで立ての「三立て」がうまいと言われますが、打ち立てと言っても打った直後ということではなく、そば職人に聞いてもだいたい何時間かは寝かせたいという人が多いです。

――店舗数が多いと、セントラルキッチンで集中加工するほうが効率がよさそうですが。

そう。マスコミの方や銀行の方は、みなさんそう言うのです。次は工場建設ですよね? って。でも、うちは工場で製麺して配送という形はやらないです。

実は、フランチャイズ展開に着手するとき、いったんは「製麺は製麺所で集中してやるのがいいのでは?」と考えたんです。それで調べてみたんですが、工場で製麺して店に配送して使うとなると、使い切るまでにどうしても1日半~2日程度を要する。ところが、一般のそば屋さんでやっているような製麺の仕方だと、もたないんです。乾いてくるし、一般生菌数も上がってしまう。

つまり、折れたり、食感が悪くなったり、衛生状態が悪くなったりする。特に、そば粉55%という配合は、工場製麺で配送してというやり方では無理だということになった。

もちろん、そうならないようにするために、今はいろいろな技術があります。麺の質を改善するにはタピオカの粉を配合する手がある。こんにゃくの粉を配合することも考えたことがありました。また、菌の繁殖を抑えるにはアルコールを添加する手がある。そもそもそば粉というものはけっこう雑菌を含んでいるものですが、今は菌数を下げた減菌そば粉というものもあります。

しかし、私自身は、手作りにそんなにこだわるつもりはなかったんですが、そば粉の比率を落とすことも、そば粉と小麦粉以外の材料を使うことも、どれももともとの「ゆで太郎」のそばのスペックを下げる話で、味に影響があるし、誇りが持てない。それはしたくなかった。減菌そば粉というのも、加熱工程が入りますから、風味に影響があります。

それと、実は店で製麺したほうが経営的なメリットもあるのです。一つは、麺にしてかさと重量が増したそばよりも、そば粉を運んだほうが配送費が安くなります。

それから、従業員をフルタイムで雇用することができる。朝開店して、早朝のお客さんが帰った後、8時半~11時半の間というのはほとんどお客さんが来ません。この時間に製麺とそのほかの仕込みをする。また、ランチのピークから夕食時のピークの間もお客さんが減りますから、ここでまた製麺と仕込みをする。こういうローテーションを組むと、1日働いてもらえる。

かつては、日中の短時間だけパートタイムで働きたいという主婦の方がいました。しかし、今はそういう人は減って、フルタイムで働くか専業主婦でいるかどちらかという感じです。そういう状況の中では、フルタイムで働ける店づくりが強みになります。

――おいしいそばであれば、そば粉は国産かなというイメージがありますが。

うちは米国産の契約栽培と中国産です。国産のそば粉は量がそろわないですね。国産の上質なものは確かに素晴らしいものがありますが、非常に高価です。日常食としてのそばに使うそば粉としては、国産と輸入で大きな差はないとみています。

そば粉の仕入れは以前は地域ごとに地元の問屋さんにお願いしていたのですが、店が増えてきて、2年ほど前に各社にすみませんとご挨拶して一本化しました。スケールメリットということです。やはりこの種のものは、1回ごとの発注量がまとまると工場の仕事もスムーズになって、安くしてもらえます。その分、調味料やそのほかの食材にお金を使えることになります。

――つゆはどんな原材料を使っているのでしょうか。

「ゆで太郎」の基本は江戸そばですから、だしはカツオ節、宗田節、サバ節のいわゆる3種混合で取ったもの。そして、しょうゆ系の濃いめのつゆに仕上げます。

だしの取り方は、これ秘密にしていましたが言っちゃいますと、5分で取れるんです。3種の節ものを微粉砕したものを使うことでこれが可能になった。

一般のそば屋さんは厚削りを使って40分とかかけて一番だしを取って、それから二番だしを取る。40分間、人が鍋に張り付いていなければいけないので人件費がかかります。しかも二番が取れるということは、40分かけてもだしが出切っていないということです。

――微粉砕することで雑味が出るとかいうことはないのですか。

むしろこれに変えてからすっきりしました。小ロットで頼んでいるうちは、腹とか背の余りを持って来られることがありました。血合いが入って味が落ちるものです。ところが、店舗数が増えてロットがそろって、しかも今はトップメーカーのヤマキさんに頼んで節の原体をまるごと粉砕してもらっていますから、味が安定しました。

それから、かえし(しょうゆに調味料を合わせて寝かせたもの)ですが、調味料はけっこう高いものを使っています。これは味のポイントになる一方、そば粉のように大量に使うものではないからお金の掛けがいのあるところです。

たとえばみりんはマンジョウの純米という、一般のスーパーではなかなか扱っていないものを使っています。そんなに味が違うのかと思うかもしれませんが、別なものを使ったかえしとブラインドテストで試食してもらうと、だいたいの人が違いを指摘します。それだけはっきりするものです。

こうした材料を使って、以前はだしを40リットルずつ取って、適宜かえしを合わせて使っていました。しかし、今は6リットルを単位に少量ずつだしを取ってすぐにかえしと合わせて、常に新鮮なつゆを提供する形にしています。これは、5分でだしが取れる仕組みが出来たことで可能になったやり方です。

――つゆの鮮度はやはり味に影響するものですか。

舌で感じる味自体はそう早く劣化するものではありません。しかし、香りは長い時間は持たないので、こうしたこまめな仕込みは品質に大きな差をつけます。

――「ゆで太郎」のおいしさの秘訣が分かりました。従来のそば店やチェーンの常識とは異なる考え方で経営されているところがポイントですね。次回は、そうした型破りなところをうかがっていきたいと思います。

それでは、「ゆで太郎」を創業した水信春夫さん(信越食品社長)との出会いとやりとりを交えてお話ししましょう。

池田智昭(いけだともあき)
1957年東京生まれ。80年明治大学文学部史学地理学科卒業。同年、持ち帰り弁当店「ほっかほっか亭」に友人と共同でフランチャイズ加盟して独立。84年「ほっかほっか亭」のFC本部であるほっかほっか亭に、東京事業部第一営業部スーパーバイザーとして入社。92年取締役営業本部長を皮切りに、取締役開発本部長、取締役FC本部長を歴任し、03年にほっかほっか亭を退社、同年トモス(後にゆで太郎システムに吸収合併)を設立し、代表取締役に就任。04年にゆで太郎システムを設立し、代表取締役に就任。94年に「ゆで太郎」1号店を出店した信越食品とマスターフランチャイズ契約を締結。以来、「ゆで太郎」のチェーン展開を手掛け、現在に至る。

(香雪社 齋藤訓之)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
画面例: 日経電子版 紙面ビューアのハイライト機能
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_