便利さの裏に落とし穴も

メインとなるアカウントのほかに、「趣味垢」(趣味に関するアカウントのこと)や「裏垢」(親しい友人とだけ本音を語り合うアカウントのこと)といった、複数のアカウントを使い分けるケースも多い。

デジタルアーツが2019年5月に実施した「第12回未成年者の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」によると、女子高生の実に約7割、女子中学生でも約4割が裏アカウントを保有しているという。

このようにスマホが浸透し、便利になってコミュニケーションの密度や難易度が上がる分、その先には友人とのけんかやいじめ、見知らぬ人との出会い、犯罪への巻き込まれといった思わぬ落とし穴も待ち構えている。

ある程度経験を積んだ大人なら、うまくいなしたり許容できたりすることも、人生経験の乏しい中高生の場合は、濃密なコミュニケーションをさばききれず、ときにトラブルに発展する場合があるだろう。

実際、上のデジタルアーツの調査では、「女子高生の3人に2人が、ネット上の友達と“実際に会いたい”」と答えるなど、親が見るとぎょっとするような結果もある。

スマホの導入を親子の関係見直しに

では、年ごろの子どもを抱えた親たちは、こうした状況にどう対応すればいいのか。確実に言えるのは、多くの子どもたちは大人たちの想像のはるか先を行っているという事実だ。親にしてみれば、自分たちが子どものころとは環境も様変わり、よほどITに詳しくないと子どもたちが何をしているか分からないだろう。

だが、心配だからと取り上げてしまうのは早計。『親が知らない子どものスマホ』の著者であり、自ら娘2人の母親でもあるスマホ安全アドバイザーの鈴木朋子氏は、「スマホは世界とつながり、さまざまなことが学べる便利な道具。うまく共存できるよう教えていく方が建設的」と語る。

例えば、スマホの導入をきっかけに、子どもたちとの会話を増やし、子どもたちが何に興味を持っているのかを知るのも一案だろう。また、スマホを使い始めるに当たり、親子であらかじめ利用ルールを決めておくのも有効だ。ポイントは、子どもの人格を尊重し、双方が納得できる“約束”を取り交わすことだ。

親子で交わすスマホの利用ルールの一例。個々の項目は、それぞれの家庭の状況に合わせて調整したり、オリジナルルールを設定したりして構わない(『親が知らない子どものスマホ』より)

話し合いをするには、保護者側にも準備が必要だ。なぜそのルールを守る必要があるのか、ルールを守るには何をすればいいのかが分からないと、ルールの納得感が薄れてしまうし、実効性が乏しくなってしまう。

また、保護者がお手本にならないとルールの説得力がなくなる。保護者が深夜までスマホをいじっているようでは、子どもに夜10時以降のスマホの利用を禁止するルールを守らせるのは難しい。保護者自身のスマホの使い方も、使い過ぎ予防機能などを使って見直そう。

(日経BP コンシューマーメディア局 石井智明)

親が知らない子どものスマホ

著者 : 鈴木 朋子
出版 : 日経BP
価格 : 1,540円 (税込み)

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